錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER

グランドスラムのために、今休む。
錦織圭が2月に南米へ飛ぶ理由。 

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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photograph byHiromasa Mano

posted2017/02/12 11:30

グランドスラムのために、今休む。錦織圭が2月に南米へ飛ぶ理由。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

2017年は(2月10日現在)分かっているだけでも20大会に出る予定の錦織。あまりにも過酷な世界転戦の鍵となるのは、いかにして休息を取るか、である。

チャン「今回の決断を尊重してほしい」

 錦織を欠いてしまえば、トップ3を欠いたフランスチーム相手でもあれだけの差があることを見せつけられた。錦織が出場したところで、単複3試合に出場して全勝するしかチームが勝つ道はなかった。しかし、これからのツアーのことを考えれば、ここで錦織の体を5セットマッチの3日連戦というかたちで酷使するわけにはいかない――以前からマイケル・チャンコーチは錦織のダブルス起用に強く反対だったと聞く。

 全豪オープンの2週目、レジェンドたちが一堂に会してメディアの取材に応じてくれる機会があり、そこでチャンコーチは、「ケイがこれまで十分に貢献してきたことを理解し、今回の決断を尊重してほしい」と主に日本のメディアを諭すように言った。

「以前と違ってケイは、出場する大会の全てで安定した好成績を残すようになった。そういう中で、ツアーの流れと異なるデビスカップのためだけの移動やサーフェスの変更は大変な負担だ。あれにもこれにも出場してほしいとみんなは思うだろうけど、期待に全て応えることはできない。バランス、優先順位をしっかり定めることが大切。ここで長めに休みがとれれば、少しリフレッシュできて残りのシーズンに臨めると考えた」

デ杯に大きく貢献してきた錦織を理解して欲しい。

 18歳でデ杯デビューした錦織は、いきなりフルセットのタフな敗戦を経験した。チームも敗れた。以来、錦織の勝利なしでチームが勝利したケースは、アジア/オセアニア・ゾーンでの1度しかなく、その一方で2015年1回戦のカナダ戦のように、錦織が2勝を挙げてなおチームが敗れたこともある。それがチーム戦だといえばそれまでだが、1試合が4~5時間に及ぶことも決して珍しくない5セットマッチだけに、勝利がまったくの無駄になるのは虚しすぎる。

 錦織は、チームをワールドグループに昇格させるという日本テニス界の悲願をすでに叶えた。2014年のカナダとの1回戦では、単複3つを取りに行き、実際に3勝を挙げて戦後日本初のベスト8入りを果たした。その功績を思い返せば、「もう十分にやってきた」というチャンコーチの言葉にも納得するしかない。

【次ページ】 錦織の欠場に理解を示した、多くのテニス関係者。

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