錦織の欠場に理解を示した、多くのテニス関係者。

　今年からチリッチのコーチについたスウェーデンのヨナス・ビヨークマンも、自身3度ものデビスカップ優勝経験があるが、チリッチを含めた欠場者の決断について理解を示した。

「デビスカップを戦うには、個人の試合よりもはるかに多くのエネルギーがいるんだ。ケイもマリンも同じ立場だと思うけど、出る限りは全部勝たないといけない。時には単複3つだ。これは相当なプレッシャーになる。国を代表するというのは名誉なことだけど、その代償に月曜の朝起きたとき気付くんだ。体中が筋肉痛（笑）。いつもとは違うエネルギーの使い方をするのがデ杯なんだ」

　錦織も「体のことを考えて決めた」と言っていた。また「今年は南米に行くので」と、その移動距離とサーフェスの違いを出場困難な理由として挙げたが、コーチたちの意見を聞き、トッププレーヤーたちの動向を見れば、たとえ南米に出る予定でなくてもその決断は変わらなかったのではないかと思う。

南米の2試合は、両大会とも錦織が第1シードに。

　ところで、そもそもなぜ今年は南米に向かうのか。

　4連覇中のメンフィスに今年は出場せず、ブエノスアイレス、リオデジャネイロと南米のクレー2大会に出場することになっている。同じ動きをするトッププレーヤーは少なく、両大会とも錦織が第1シードの目玉選手だ。錦織にとってブエノスアイレスは5年ぶりの出場で、大会ができてまだ4年目のリオは初出場となる。

　5年前は南米アルゼンチンのブエノスアイレスから中米メキシコのアカプルコとクレー2大会を転戦したが（アカプルコは現在ハードコート大会）、ベスト8、2回戦敗退と、あまりいい成績とはいえなかった。しかも肝心のクレーシーズンは腹筋痛のため、全仏オープンを含めてほぼ全て棒に振った。

　その記憶がイヤに強いのだが、5年前と今の錦織とではクレーに対する意識が全然違う。

　昨年のIPTL（インターナショナル・プレミア・テニスリーグ）で錦織は、「新たな挑戦ではあります。去年優勝したメンフィスに出ないのは寂しい気持ちもありますけど、これまでクレーで活躍できているので、（南米で）ポイントを獲りにいくという判断をしました」と説明した。

　全豪オープンでのチャン・コーチも「リオは去年のオリンピックですばらしい経験をしたし、この数年、クレーではいい成績を残している。問題はハードコートからスムーズに移行できるかどうかだが、今回は時間があるので問題はないだろう」と期待を語った。

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