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女子カーリング、五輪を巡る大接戦。
中部電力とLS北見の別れた明暗。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byNanae Suzuki
posted2017/02/06 12:30
スキップの松村千秋(24歳)のショット。まだ若いチームだが、その昨年からの急成長ぶりは目を見張るものがある中部電力。
選手間の見事な連携が光った中部電力。
その要因は、リードからうまく組み立てられなかったLS北見、リードから役割をきちんと果たした中部電力と、対照的な流れにほかならない。
このエンドに限らず、中部電力は大会を通じて、リードの石郷岡葉純(いしごうおか・はすみ)、セカンドの北澤育恵の「フロントエンド」の安定感が光った。
石郷岡は「今までに出た大会の中で、いちばん集中できました」と言う。その言葉は、プレーが証明していた。
藤澤は第6エンドに限らず、特に後半、ドローショットを決めきれない場面があった。決して簡単ではないショットを選択する局面を迎えざるを得なかったのも、そこまでに至る中部電力のセットアップにあった。
いみじくも、男子で優勝し、平昌五輪日本代表に内定(日本の出場権はまだ獲得していない)したSC軽井沢クラブは、2-3のビハインドで迎えた第4エンドを前に、「リードからチャンスを作ろう」と話し合い、それが修正と逆転につながったことを試合後に明かしている。
カーリングはどうしてもスキップの一投がクローズアップされがちだが、男子代表チームとなったSC軽井沢のこの言葉は、リードからセカンド、サードとみんなでつないでいくことこそ重要であることを示してもいた。
「アイス・リーディング」の難しさ。
第6エンドは、カーリングのもう1つの特質をうかがわせもした。
「アイス・リーディング(氷面の状態を読むこと)」である。
第6エンドは、試合の折り返し地点、休憩を挟んで再開されるエンドだ。その休憩中に、いったんリンクが冷えてしまうことにより、氷の状態が変化していることがある。
また、試合が進む中で、ペブル(リンク上の細かい氷の粒)も変わってくるし、試合開始からよく使われるラインとそうではないラインとでは滑りやすさ、曲がりやすさに違いが出てくる。あまり使っていないラインを使わざるを得ないとき、ミスは起こりやすいのだ。