プロ野球亭日乗BACK NUMBER
“投手・大谷”の穴をどう埋める?
侍ジャパン・権藤博投手コーチに訊く。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2017/02/02 17:10
日本ハムの海外キャンプ地・アリゾナで、右足首の故障によるWBC登板回避を説明した大谷。
「だから絶対にピッチャーで勝たないかんのです」
――継投が勝負を分ける、と。
「ざっくばらんに言えば、これだけの投手陣を揃えて、アイツらが普通に力を出して戦ったら負ける相手じゃないですよ。
だから絶対にピッチャーで勝たないかんのです。
ピッチャーで抑えないかんのです。
バッターもいいメンバーが揃っています。ポンポンとリードしてだいたい試合が決まったら、それこそボコボコ打つでしょう。ただ短期決戦は重いですから。あのムードの中だと接戦になればなるほど、打線はそうはいかないですよ」
――先取点が大事になる試合。逆に言えば先に点をやれない……。
「先にやっちゃいかんというと、ピッチングはできないですから。1点か2点か、そこらはしょうがないです。でも3点も4点も先にやられちゃうと難しくなる。だから勝負を崩さないような戦い方をやらさないといけないし、そういう継投をしなければならないということですね」
左のワンポイント、しぶとい投手……充実のリリーフ陣。
――リリーフ陣では岡田に宮西、松井と3人のサウスポーに秋吉がサイドハンド、牧田がアンダースローとバラエティーにとんだ構成です。
「ただ、僕は選手を選ぶ条件では左とか右は考えなかったですね。岡田は名古屋でずっと見ていて左右の打者に関係なく抑えます。宮西も左右関係なくいける。秋吉も去年の強化試合で自分の球さえ投げられれば、相手が左打者だろうと合わないのが分かっている。だからクリーンアップの中で左対左を出さなくちゃいかんというのはあるかもしれませんけど、それ以外は普通の回り方でいこうと思っています。
そういう左腕が必要な場面で一番、使えるのは宮西でしょうね」
――左のワンポイント!
「ただ、あんまりワンポイントで使っていくとピッチャーが足りなくなっちゃいますから。だから投手交代は1イニング、1イニング、という感じになると思います。そこにポンとワンポイントを挟むけど、次に右打者が来てもその左がいく。それができる投手を選択したということです。データを見ても宮西は右に強いですものね」
――石川は?
「強化試合で見てこれは面白いなと思ったんですよね。これはしたたかだなと。球も面白いんだけど、したたかですよ」
――どこがしたたかなんですか?
「ど真ん中からチョロっと曲げたりする球を平気で投げますよ。大胆にいく。いい雰囲気持っているし、これは面白いし必要だぞと思いましたね。他の投手は総じてピッチングが綺麗過ぎますもん。
石川は汚れていますけど、しぶとそうです。そういう点では広島の野村も選びたかったんですけどね。あのフラフラ球でもしたたかさがある。やっぱり黒田の影響でストライクゾーンを広く使えるようになった。それと100球までどういう風にやるかというのを考えるようになった。黒田のいい影響を一番、受けた投手じゃないですか」