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昨年はCS、今年は「日本一」――。
DeNA田中健二朗、見えつつある頂点。

posted2017/02/02 07:00

 
昨年はCS、今年は「日本一」――。DeNA田中健二朗、見えつつある頂点。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

かつての甲子園優勝投手である田中。左のセットアッパーの地位を確立した27歳にとって試金石のシーズンが始まろうとしている。

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日比野恭三

日比野恭三Kyozo Hibino

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Kiichi Matsumoto

 2015年のラグビーワールドカップ、2つの引き分けを挟んで同大会16連敗中だったジャパンは、初戦で南アフリカ相手に大金星を挙げた。第2回大会以来24年ぶりの勝利だったが、さらにサモア、アメリカと勝ち戦を重ねたところが興味深かった。

 地道な強化が実り、世界の強豪に伍すレベルに達したのだとしても、「1戦目に惜しくも敗れていたら」その後の連勝はあっただろうかと思う。

 ただ一度「勝つ」という結果は、勝ちから見放されてきたチームの勝ちに対する精神的障壁を間違いなく下げる。見知らぬ土地で目的地まで歩いていく時、行きはずいぶん遠く感じたのに、帰りは驚くほど近く感じる。あの感覚に似ているのかもしれない。

 2016年のベイスターズが初めてクライマックスシリーズ(CS)に進出したこと、そしてジャイアンツを破ってファイナルステージまで駒を進めたことは、少なくとも球団とファンにとってはエポックメイキングな出来事だった。

 2005年を最後にAクラス入りはならず、過去9度のCSには無縁。どれだけ進めばたどりつけるのかあやふやだった彼の地に、ようやくたどりついたのだ。もう、だいぶ近くに見える。

61試合登板も「めちゃくちゃ楽しかったですね」。

 左のセットアッパー、田中健二朗にとっての2016年シーズンもこれまでになく長い道のりだった。

 9年目にしてついに、シーズンを通して一軍の戦力としてフル回転した。キャリアハイを大幅に更新する61試合に登板(それまでの最多は2015年の35試合)。CSでは勝負どころで出番がめぐってきた。夏以降の後半戦は、田中が初めて通る道だった。

 その道中に見た光景とはどんなものだったのだろうか。シーズンを終えて間もないころ、自身の足跡を振り返ってほしいと水を向けると、田中は表情一つ変えずに言った。

「めちゃくちゃ楽しかったですね」

 充実感があったのは想像できたが、ここまで率直な表現は予想外だった。

【次ページ】 田中にとって欠かせない木塚投手コーチという存在。

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