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シャルケとヴォルフスに密かな改革。
岡崎&内田の競演は実現するか? 

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遠藤孝輔

遠藤孝輔Kosuke Endo

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posted2017/01/19 11:30

シャルケとヴォルフスに密かな改革。岡崎&内田の競演は実現するか?<Number Web> photograph by AFLO

シャルケがCLベスト4進出した時の原動力だった内田とフンテラール。ファンから愛されるふたりも、今では若手から突き上げられる立場となった。

プロキャリアのない38歳の新任SDの手腕に称賛を。

 ウインガーのポール=ジョルジ・エンテプ(←レンヌ)とボランチのリーヘドリー・バズール(←アヤックス)も、ヴォルフスブルクの未来を明るく照らしそうだ。傑出した脚力を備える前者は、サイドアタックのクオリティーを一段も二段も高めうるドリブラーで、「ライカールト2世」の異名をとる後者は、トウが立ったルイス・グスタボの後継者候補。ともにアーセナルやマンチェスター・ユナイテッドなどのメガクラブも注視していた逸材で、いきなり大きなインパクトを放つ可能性を秘めている。

 称賛されてしかるべきは、こうした優秀なタレントをかき集めたオラフ・レッベSDだろう。2015年7月からスポーツディレクター職を務め、1月8日に名GMクラウス・アロフス(昨年12月に解任)の後釜となる強化部門の長に抜擢されたばかりのレッベは2004年1月から2013年2月まで、ブレーメンのマーケティング部長を務めていた人物で、プロ選手としてのキャリアは持ち合わせていない。ヴォルフスブルクに加わったのは2013年3月で、約3年9カ月に渡り、自らを新天地に呼び寄せたアロフスの懐刀として尽力してきた。

 他のトップクラブで強化を左右する要職を務めた経験はなく、ドイツメディアも今回の出世を「驚くべき昇進」と報じている。当然ながら指摘されるのはスポーツディレクターとしての経験不足と、1978年生まれの38歳という若さだ。だが、本人は「若いか年寄りかは関係ない。(重要なのは)良いか悪いかだね」と涼しい顔を見せている。

“インテリ肌”のレッベが新たなロールモデルに?

 その余裕はどこから来るのか。それを見極めるには、もう少し時間が必要だろう。ただ、アロフスの仕事ぶりを間近で観察してきた経験に加え、フットボールのマーケティングとコミュニケーション学を専攻し、ドルトムントやアーセナル、セルティックでインターンシップを行うなど、学生時代に培った知識の量に疑いの余地はない。

 ドイツのスポーツディレクターと言えば、ドルトムントのミヒャエル・ツォルクやレバークーゼンのルディ・フェラー、RBライプツィヒのラルフ・ラングニックのように、選手あるいは指導者として確かな実績を築き上げた者が大半だが、他とは一線を画した異色の経歴を持つ“インテリ肌”のレッベが、スポーツディレクターの新たなロールモデルとしての道を切り拓くかもしれない。

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