錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
“早めのフェデラー”はむしろ幸運?
全豪、錦織圭の挑戦者スイッチON!
posted2017/01/17 17:00
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
AAP Image/AFLO
死の組、死のブロック……月曜日に開幕した全豪オープンで、錦織圭が勝ち進んでいかなくてはいけないブロックに関して、ドロー抽選の直後から日本のメディアではそんな不気味な見出しが躍っている。
予想される対戦相手は、4回戦でロジャー・フェデラー、勝っても次の準々決勝でアンディ・マレーが待つブロック。確かに、4つのブロックに1人ずつ入っている第5シードから第8シードを見たとき、“ビッグ4”が2人いる錦織のブロックがもっとも激戦区だろう。
しかし、それが向かい風と決めつけることはない。むしろ、考えようによっては「いいドロー」なのではないかと思えるのだ。
今大会最大の注目選手である元世界王者。
フェデラーは今大会最大の注目選手といってもいい。
グランドスラム優勝17回の元王者の復帰戦。膝の故障を完治させ、「あと数年ツアーで戦う準備のために」昨年のウィンブルドン以降戦列を離れていた。その間にランキングを落として今回は第17シードでの出場。
年初は男女混合の国別対抗エキシビションであるホップマンカップで肩ならしをし、現在18位のリシャール・ガスケなどに勝ってシングルスは2勝1敗という成績だった。半年ぶりの公式戦となる今大会では、1回戦で予選上がりの35歳ユルゲン・メルツァーに1セットを奪われたが、かつて経験したことのない半年間ものブランクを猛烈な勢いで埋めている印象だ。
2回戦も予選上がりの20歳が相手で、世界10位のトマーシュ・ベルディヒとの3回戦が最初の壁。しかし、海外メディアが初めから注目しているのは錦織との4回戦である。
そして準々決勝でマレーと対決――という筋書きを彼らが描くのはしかたのないことだが、錦織は自分が向かっていける立場のときによりいっそう力を発揮するということを忘れないでもらいたい。