オリンピックへの道BACK NUMBER
挑戦し続ける意志と過程の尊さ。
浅田真央と村上佳菜子の未来。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2017/01/07 11:30
キス・アンド・クライでの佐藤信夫コーチらと浅田。今大会、浅田のみが跳べる3Aを入れたことを、もっと評価したい。
「現状維持ではなく、最高レベルを求めたい」
一方で、こうも語った。
「最高レベルで臨みたいと思っていたので、できるところまで戻ってきたことはうれしく思います」
ショート、フリーともに成功しなかったものの、トリプルアクセルを試合で入れられるところまで戻すことができた。
トリプルアクセルに限らず、入れるべき要素を入れて選手権に臨むことができたこと――そこに希望を見出していた。
「来シーズンも挑戦を続けるのか」と尋ねられたとき、浅田はこう答えた。
「そうですね。競技者として、選手である以上、現状維持ではなく、最高レベルを求めたいと思っています」
さまざまなことを乗り越え、ソチ五輪で輝いたふたり。
村上、浅田ともに、進退を取沙汰されることがなかったわけではない。
周囲の思惑はどうあれ、2人はそれぞれに、自分の演技を求めて、進んできた。
この選手権の2人の姿に、2人とも出場したソチ五輪を思い出す。
ソチ五輪では、数々のベテラン選手が光を浴びた。その中には、「道を譲るべきだ」として何度も批判を浴びた選手もいた。そんな批判の矢をかいくぐって迎えたソチで、賞賛された。
結果を出せば、挑戦は賞賛され、結果が出なければ、無謀と謗られ轟々たる非難を浴びることになる。
結果がどうあれ、彼ら選手たちに等しく共通するのは、可能性がゼロだと思わない限り挑戦してきたということだ。