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全日本3連覇「狙っていきなさい」。
宮原知子がコーチに助言された理由。
posted2017/01/06 08:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto
2016年の全日本選手権の女子は、宮原知子の優勝で幕を閉じた。これで宮原は同大会3連覇を飾った。
ショートプログラムでは完璧な滑りを披露。すべての要素のGOEで加点があり、演技構成点でも高得点をマークしトップに立った。フリーはトリプルループに続くトリプルルッツとトリプルトウループのコンビネーションジャンプの2つ目がステップアウトとなり、後半のトリプルルッツで回転不足を取られた。
それでもフリーでもトップに立ち、合計214.87点と、2位以下を大きく引き離して優勝を決めた。
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「全体的に、思い切りがなかったというか、ちょっとスピードがなかったなというか、もっと勢いよく行きたかったです」
濱田コーチから「狙っていきなさい」と言われた。
宮原は試合後、やや納得のいかない表情を浮かべた。NHK杯、グランプリファイナルと試合が立て込んだ疲労の影響もきっとあっただろう。
同時に、心理的な影響もあったかもしれない。
演技の直前に濱田美栄コーチから、こう言葉をかけられたという。
「狙っていきなさい」
大会を前に、宮原は「3連覇についてあまり考えすぎないようにしていました」と語っていた。これは無駄な力が入ったり、うまく気持ちを持っていけなくなることを恐れてのことだった。
しかし、あえて濱田コーチは“勝つこと”に意識を向けさせたのだ。