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東福岡のJ内定3人衆が選手権席巻?
彼らはエリートか、それとも雑草か。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2016/12/27 17:00
左からジュビロ磐田内定の藤川虎太朗、ガンバ大阪内定の高江麗央、鹿島アントラーズ内定の小田逸稀。
東福岡の精神と、鹿島アントラーズの精神を抱えて。
当然、優秀選手に選ばれるためには高校選手権で勝ち進まなければならない。
「クラブワールドカップを見ても、鹿島はしたたかさとチャレンジ精神が凄い。相手がレアル・マドリーで、すべての面で格上であっても、あそこまで押し込めたのはメンタル面が大きいと思う。来年はそのクラブでプレーする以上、選手権で僕がその精神を見せないといけない」
東福岡の主軸としての確固たる決意と、鹿島の一員になる自覚。このふたつの意識で、高校選手権に挑む。
「僕の方が、どん底を味わっている」
「僕は(小田)逸稀やコタ(藤川虎太朗)よりは、どん底を味わっている方だと思いますよ」
こう語るのは高江麗央だ。彼の言葉通り、3人の中で彼が一番“遅咲きの花”だった。
1年時はトップチームに絡むことが出来ず、2年になってもレギュラーポジションを掴めないでいた。そして、昨年のインターハイ後に彼は一番下のチーム(1年生チーム)にまで突き落とされていた。
「最初は『何で外されたんだ』と思っていたのですが、でも周りは後輩ばかりだったので、自分がしっかりして中心になってやっていかないといけないと思い直して、プレーするようにしました。そこで『ダメなのは自分なんだ』と考え直すことが出来たし、『チームのために』と強く思えるようになったことが、自分が一番変わった部分だと思います」
実は、それまでの高江はドリブラーにありがちな“俺が、俺が”一辺倒のタイプだった。
「正直、物凄く尖っていました。監督の要求や周りの意図を考えず、自分のことばかり考えていた」
しかし、周りとの連係無くしては、持ち味を出すことが出来ないことに気づく。
「本当の意味での『自分の良さを出す』と言うことはどういうことかを考えたときに、『フォア・ザ・チーム』という部分が欠けていました」
一番下のチームで心を入れ替えて取り組んだ高江は、その後、高校選手権直前の12月に再びトップチームに戻されている。それは、一種のショック療法だった。そして、高校選手権では故障を抱える藤川に代わって、初戦からスタメンでチームを支えていた。
しかし……準決勝、決勝は藤川にスタメンの座を譲る形となった。