球道雑記BACK NUMBER
10年間支えられた裏方との別れ。
ロッテ大嶺祐太は一本立ちできるか。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2016/12/27 08:00
2016年5月。日本ハム戦で、2回途中で交代を告げられた時の大嶺(右端)。結局、今季は4月2日・オリックス戦の1勝のみで終わった。
プロ10年間で通算26勝はあまりにも物足りない。
もちろん、それが甘えであることは大嶺も承知の上だ。
かつての失敗を、失敗と踏まえた上で、近年はひとり黙々とグラウンドを走り、オフには厳しい言葉を投げかけるトレーナーのもとで、汗を流している。全ては甘えを断ち切るため。彼も必死だ。
入団時の期待値を考えれば、プロ10年間で通算26勝はあまりにも物足りない。
「大嶺祐太はこんなもんじゃないだろう!」は、誰もが叫びたくなることだ。
ただ、歯がゆく感じているのは私を含めた外野ばかりじゃない。その何倍も今、大嶺自身がそれを痛感している。
だからこそ、今年のオフはいつにもまして目の色が違う。
そんな大嶺を見ていると、来季こそやってくれるだろうと期待せずにはいられない。
わずか1勝、防御率6.49から立ち直るために。
2015年は8勝7敗、防御率3.17とローテーションの3本目の柱として、まずまずの結果を残した。しかし、さらなる期待がかかった2016年の今季、大嶺は周囲の期待を大きく裏切った。
勝ち星はわずか1つ。防御率は6.49と大乱調で、5月と8月には2度の登録抹消もあった。「ああ……こんなはずじゃなかった」と誰もが思ったことだろう。もちろん、本人が一番忸怩たる思いを抱えていた。
「CS前の9月くらいから、今年はもう上(一軍)には上がれないだろうなって感じていたので、来年に向けてどうやろうかを自分の中で考えていました。フェニックスに行ってからも、そこで打たれようが、抑えようが関係ない。今、自分がやりたいことをとにかくやろうって感じで……。そのことはコーチにも伝わっていたと、納会のときに言ってもらえたので、このオフはそれを継続していこうという考えでやっています」
不振の原因はコントロールを意識するあまり腕が振れなくなりそれが慢性化。球威も共に落ちていった。