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藤沢厩舎、史上初の2歳GI両獲り。
朝日杯FSはサトノアレスの完勝劇。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2016/12/19 11:40
勝ちあがりに2戦かかった馬が朝日杯を制するのは2003年のコスモサンビーム以来。ここから、サトノアレスはどう育つのだろうか。
タラレバを考えても、勝つ馬はサトノアレスだった。
といったように、上位人気馬が力を発揮できずに終わったなか、サトノアレスは後方で折り合い、勝負どころから楽な手応えのまま進出し、一気に勝負を決めた。
新馬戦から前走の500万特別まで2-2-1-1着と来て、1戦ごとに内容がよくなっていたそのままの流れで突き抜けた。直線でおそらく歓声に驚いて内に切れ込むなど、まだ若さを見せながらも、余裕のある勝ちっぷり。伸びしろがあるぶん、これからさらに強くなっていくだろう。
もし流れが速くなっていたら、もっと差をひろげて勝っていただろうし、もし内枠を引いていたら、もっと楽に折り合いをつけられただろう……といったように、考え得るいくつものタラレバを当てはめてみても、勝つのはこの馬だったと思われる。
サトノアレスにとって、このレースは自身の総合力が突出していることを証明する一戦となった。
あの折り合い方や直線での瞬発力からすると、距離延長に不安がないどころか、距離が延びるとさらにいいだろう。
藤沢調教師は史上初の2歳GIを同年に制覇。
管理する藤沢和雄調教師は、ソウルスターリングで勝った阪神ジュベナイルフィリーズにつづく2週連続GI制覇を遂げた。ひとりの調教師が同年に阪神ジュベナイルと朝日杯を制するのは史上初めてのことだ。
これがGI24勝目。朝日杯は'95年バブルガムフェロー以来の2勝目で、阪神ジュベナイルも2勝しているのだが、クラシック制覇は、2004年にダンスインザムードで勝った桜花賞のみ。
藤沢師は、無理してクラシックのスケジュールに合わせるより、馬の成長を待ちながらトレーニングを重ね、そのときの状態に合ったレースに使っていく。だから藤沢厩舎の馬は古馬になってから花開くことが多い――というイメージだったのだが、このサトノアレスとソウルスターリングが、それを一変させるかもしれない。