プレミアリーグの時間BACK NUMBER
CL首位通過と、プレミア降格危機。
レスターが直面する奇跡後の現実。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2016/12/17 07:00
かつて辛酸を舐めながらも昨季レスターで息を吹き返したラニエリ監督とバーディー。再びの逆境で真価を発揮できるか。
シティ戦も相手が主力を欠いていただけに……。
そのマンC戦では4-2と6試合ぶりにリーグ戦で勝利した。前述したバーディーのハットトリックもあいまって、メディアでは「昨季レスター風」のパフォーマンスとも評された。ペップ・グアルディオラが率いる今季優勝候補に勝つべくして勝ったことは事実だが、そのマンCはカウンターで仕留めやすい相手だったと考えることもできる。
攻撃の起点となれる足元派のクラウディオ・ブラボにゴールを任せてラインの位置が高くなっている上、その新GKは1対1に強いとは言えず、チームはこの2カ月ほどパフォーマンスが安定せずに自信を落とし始めている。加えて、チェルシーに敗れた前節での退場処分で、得点源のセルヒオ・アグエロと中盤の守備役フェルナンジーニョを欠いてもいたのだ。
CLでは夢、プレミアでは現実を見つめて。
マンCに勝とうがサンダーランドに負けようが、メディアもファンも今季のレスターに一喜一憂してはならない。幸い、チームを率いるラニエリは、奇跡を起こしてから3カ月しか経っていなかった今季開幕前の時点でも、目標を訊かれて「安全圏確保」と即答していた。CLでは“夢”を見つつも、プレミアでは“現実”を見せつけられている指揮官の下、残留争いの泥沼を避けるための足場を固める12月を期待したい。
それは、マンCを倒したからというわけではない。前半戦ラスト3試合はストーク、エバートン、そして大晦日のウェストハム戦と続く。ただ、どのクラブもそろって開幕前の評価を失いつつあり、ポイント奪取可能な「現実」が見えるからだ。
奇跡が起こった「夢」のシーズンを終えたレスターが、降格候補となり得る「現実」という今季プレミアを戦っているように。