“CLを意識しすぎるな”は土台無理な話。

　CLではグループリーグを首位で突破し、決勝トーナメント進出を果たしている。だが、この点に関しても一部メディアには「CL出場で浮かれている」とまで言われた。計11失点で敗れたリバプール、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシーとのリーグ戦3試合が、いずれも次にCLを控えていた点を言及している。

　だが、クラブ史上初の夢の舞台なのだから“CLを意識しすぎるな”というのは土台無理な話。12月12日のラウンド16抽選会では、ヨーロッパリーグ3連覇を成し遂げた強敵セビージャとの対戦が決まったが、レスター必殺のカウンターは欧州での戦いでこそ生きる可能性がある。

　逆に最初から諦めてプレミアに注力していたら、それはそれで「意気地がない」とメディアでもファンの間でも非難されていたに違いない。開幕4カ月間のトップ10圏外がまさかの事態ではないと理解すれば、CLを捨てて欧州でも冴えない結果に終わることで、チームの自信とムードが著しく低下していたかもしれない。

　その代表例は一昨季のリバプールだ。5年ぶりのCL出場を果たしたが、当時のブレンダン・ロジャーズ監督は国内重視を選択。その結果、戦力温存によるグループステージ敗退が、指揮官に対するファンの心離れを促進したと言える。

ラニエリに不満を唱えるファンも少数ながら存在。

　とはいえ少数派だが、ラニエリに対して不満を唱えるファンは現れている。ホームで昇格組のミドルズブラと2－2で引き分けた後、BBCラジオでラニエリの解雇と、ナイジェル・ピアソン前監督の再雇用を求めた男性ファンの意見には唖然とさせられた。

　実際、昨年の12月半ば、チェルシーを率いていたジョゼ・モウリーニョはレスターに敗れたことで監督の任を解かれた。しかし繰り返すが、優勝請負人の下でリーグ連覇が期待されていたチェルシーと、ラニエリ体制2年目のレスターは違う。

　ラニエリはマンチェスター・シティ戦を前に「全面支援」をファンに求めていたが、昨シーズンの優勝に尽力した指揮官がホームゲームで観衆の声援を請うなど、本来はあってはならないことだ。

【次ページ】　シティ戦も相手が主力を欠いていただけに……。