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日本一地味な1億円プロ野球選手!?
谷元圭介は、167cmから投げ下ろす。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/12/16 11:30
日本シリーズでは胴上げ投手にもなった谷元圭介。彼のような選手を大切にするのも、日本ハムの強さの1つだ。
日本ハムが7位で指名。心残りはあったのだろう。
同じテーマで、日本ハムの関係者と立ち話をする機会があった。
角度という意外な切り口から、私が熱心に谷元圭介を推すと、能力は積極的に認めるがやはり身長が……。反応は、同様に否定的だった。
170センチの武田久が、その年までの4年間に94ホールドを挙げていた。だから、という三段論法はなかなか成立しないのがプロ野球なのだが、心強い前例には違いなかった。
秋のドラフト、日本ハムの7位で「谷元圭介」の名前が挙がったのは正直、意外だった。しかし、事前にテストを受けさせていたことを後で聞いて、やはり“心残り”はあったのだな、と妙に納得したものだった。
彼こそ日本一地味な1億円プレーヤーでは?
その谷元圭介が、プロ8年目のこの秋、1億円プレーヤーになった。自分のことでもないのに嬉しかった。
日本一地味な1億円プレーヤー。
もしかすると、そんな“称号”が似合うプロ野球選手かもしれない。
3年連続50試合以上に登板。
そう言われても、正直、ピンと来るファンはそんなに多くないはずだ。
50試合に投げるためには、倍の100試合で登板のプレッシャーを感じながらブルペンで肩を作っている。100試合で肩を作っているということは、140数試合すべてのゲームでベンチ入りしている。それほどの“稼働率”なのだ。
試合終盤、勝っていても追いかけていても、その中の1イニングでいつも投げ、何げなくアウトを3つ奪って、次のイニングにはもうマウンドにはいない。たった、それだけの“存在感”だが、そういう存在がチームにとってはどれだけ有難く、頼もしいものか。