ラグビーPRESSBACK NUMBER
ラグビー女子代表のお弁当拝見!
南早紀の恐るべき炊き込みご飯。
posted2016/12/13 08:00
text by
朴鐘泰Park Jong Tae
photograph by
Asami Enomoto
醤油ベースの甘辛いタレで炒めたアスパラの豚肉巻き。肉団子とウインナーが刺さっている爪楊枝は、その長さに合わせて先端がカットされていた。実に仕事が細かい。さつまいもとブロッコリーはボイルされており、茹で上がったうずらの卵は切れ目が入って“小トトロ”に。メインとなる“猫バス”のベースは炊き込みご飯。丁寧にカットされた目と口は海苔とチーズ、鼻と桜の花びらはハムである。
……いきなり何の話? とお思いだろうが、事の始まりは、10月末に遡る。
「何やったら、面白いですかねえ」。
筆者は、ラグビー協会広報Tさんと何度もメールを重ねていた。Tさんは15人制のラグビー女子日本代表こと「サクラフィフティーン」の担当である。
2006年の第5回W杯から3大会連続で出場権を逃しているサクラフィフティーンは、来年8月にアイルランドで開催される第8回W杯への出場をかけて、12月13日にフィジーと、17日に香港とアジア・オセアニア地区予選を戦う。日本を含めた3チームによる総当たり戦で、上位2チームがW杯本大会への切符を掴む。
日本ラグビーの命運を握る戦いに挑もうとする彼女たちにエールを送る意味でも、もっと彼女たちの存在を世に広めたい――その思いから知恵を絞りあっても、なかなか妙案が出ない。
料理上手というなら、食べてみようじゃないか。
いや、普通にキャプテンとか主力選手を取材して記事にすればいいじゃないか、と思うかもしれないが、僕は生来のひねくれ者なので、とおり一遍の“普通”の原稿は書きたくない。ややこしいヤツに付き合ってもらってスミマセン、と平謝りしながらTさんとさらにメールを重ねると、ようやく糸口が見えてきた。
「すごく料理上手な子がいるんです。毎日ラグビーしながら自炊もしていて」
「へえ。でも、自炊っていっても、たかがしれてません?」
「それが一人暮らししながら、朝昼晩、ぜんぶなんです」
「えっ? たしかその子、大学生でしたよね?」
「これ見てください」
メールの添付画像は豚肉と白菜のいわゆる“ミルフィーユ鍋”なのだが、大根おろしと海苔を駆使することで、見事な"トトロ鍋"に仕立て上げている。即座に返信した。
「じゃあ、僕がその子が作ったお弁当食べるってのはどうです?」