濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
神取忍や小池栄子の夫を飛び道具に。
RIZINに潜む、年末格闘技の矜持。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byMunehiro Hashimoto
posted2016/12/04 08:00
ミスター女子プロレスとして恐れられた神取だが、ギャビとのサイズ差を跳ね返して勝利できるのだろうか。
増量の桜井“マッハ”速人vs.5年ぶりの実戦・坂田亘。
11月28日には、同じく大晦日のワンマッチとして桜井“マッハ”速人vs.坂田亘が発表された。坂田は主戦場にしてきたプロレスイベント『ハッスル』の活動休止などを経て、これが約5年ぶりのリングとなる。
総合の試合となると、2003年大晦日に行なわれた『PRIDE男祭り』でのダニエル・グレイシー戦以来だ。はっきり言って、大舞台に上がる資格がある選手ではない。対戦するマッハにしても、試合は3年ぶり。最近は弟子のセコンドを務める際に、かなり“増量”した姿でファンを驚かせてもいた。
しかも、である。この記者会見には坂田の妻であるタレントの小池栄子も同席している。もともと坂田のRIZIN参戦は、小池が高田延彦統括本部長に「坂田にケジメをつけさせてほしい」と訴えたことから始まっているという。だから小池も同席させなければ不自然になってしまうのだ、というのが高田本部長の説明である。
“人生を切り拓こうとする美しい夫婦愛”ドラマに。
それで納得するファンは、どれくらいいるだろうか。リングにケジメをつけたいのなら、新宿FACEかどこかで開催される小さな大会の第一試合でもいいんじゃないの、と言ってみたくもなる。結局は注目されたいし、ファイトマネーだって高いほうがいいんでしょ、と。
「批判は承知の上」
「当日の試合を見てほしい」
揃ってそう語る坂田・小池夫妻。マッハは「なんで小池さんが横にいるんですか」と怒りを露わにし、筆者も榊原信行実行委員長に「RIZINは競技の最高峰を目指さないということですか。ファンはそういう印象を持つはずです」といった質問をした。だがおそらく、テレビカメラに収められるのは“批判に真っ向から向き合い、耐えて人生を切り拓こうとする美しい夫婦愛”なのだろう。