濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
神取忍や小池栄子の夫を飛び道具に。
RIZINに潜む、年末格闘技の矜持。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byMunehiro Hashimoto
posted2016/12/04 08:00
ミスター女子プロレスとして恐れられた神取だが、ギャビとのサイズ差を跳ね返して勝利できるのだろうか。
飛び道具を使うバイタリティを取り戻した、とも。
本当の意味でメジャーになるには地上波で放送されなければ、という環境が変わらない限り、つまりは日本のメディア環境でメジャーを目指す限り“飛び道具”はなくならない。記者は苦笑し、真面目なファンほどイライラする。たぶんずっとそうなのだ。しかし今の格闘技界は“飛び道具”を使うバイタリティを取り戻したとも言えるかもしれない。
そこで大事なのは、年末のRIZINで組まれているのが“飛び道具”だけではないということだ。それこそ、シリアスなカードもコミコミ。UFCから日本復帰を果たす川尻達也は、9月大会で所英男に完勝したクロン・グレイシーと対戦する。底なしのポテンシャルを持つ山本アーセンは所に挑み、北岡悟とダロン・クルックシャンクのライト級実力者対決も実現。DEEP王者の和田竜光、そのライバルである元谷友貴といった、現在の日本MMA最前線で体を張る若い選手の出場も決まった。
彼らが“飛び道具”を脇に追いやるようなインパクトを観客(と視聴者)に残すことができるか。その“闘い”にこそ注目したい。いや、実は同じことを毎年のように言っているような気もするのだが、これは「今さら」と思わず言い続けなくてはいけないだろう。