オリンピックへの道BACK NUMBER
2020年へ若き女子柔道家が躍動。
グランドスラム東京で光った5人。
posted2016/12/11 08:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
オリンピックシーズンは、五輪後の大会も重要なのである。なぜなら、出場できなかった選手、そして若い世代にとって、次の日本代表を目指すための足がかりの場となるからだ。
12月2日から4日にかけて、東京で行なわれた柔道の国際大会「グランドスラム東京」もその1つであり、次を視野に入れる選手たちの活躍が見られた大会となったが、女子ではリベンジを期す選手、高校1年生で初めて出場した選手たちが存在感を示した。
注目を集めた1人が52kg級の高校1年生、阿部詩(あべ・うた)だ。早くから脚光を浴び、当時中学3年で出場した今年3月のチューリンゲン国際カデ大会で優勝すると、9月の全日本ジュニア体重別選手権3位、初めてのシニアの大会だった11月の講道館杯でも3位となり、グランドスラムの代表に選ばれた。
ちなみに兄の阿部一二三も、早くから次代を担う存在として期待を寄せられてきた1人だ。
高1ながら「外国人選手と戦えると分かった」(阿部)
内股など立ち技を武器とする阿部は、今大会で持ち味を発揮する。3回戦で試合開始わずか30秒で合わせ技一本、準決勝では38秒に大外刈で一本勝ちを収めた。決勝こそ角田夏実に関節技で一本負けを喫したが、大会後、晴れやかに振り返った。
「満足はしていません。でも外国人選手と戦えると分かりましたし、自分のできることが精一杯できました」
そんな阿部を破った角田は、24歳にしてシニアの国際大会初出場を優勝で飾った。「とんとん拍子という感じでした」と笑顔を見せて喜んだ。
千葉県立八千代高校から東京学芸大学に進んだ角田は、もともとは大学で柔道をやめようと考えていた。
「実業団でやるなんて考えることはできませんでした」