マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
大山悠輔と中塚駿太のWプロ入り。
白鴎大・黒宮監督はただただ祈る。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/11/01 07:00
強打の野手として注目された大山(右)と、150km超の剛速球を投げ込む中塚。大山は金本監督たっての希望で1位指名を受けた。
大山も中塚も、自分の子供を見るかのような心境に。
「今までは、“後輩”がプロに行くみたいな感じで、頑張ってこいよ! ってボーンと背中叩いて送り出せたんですよ。それがなんだか、今年はちょっと違ってて」
自分の子供を巣立たせるような気分だという。
「大山も中塚も、ほんといい子でね……。そういう年になったってことなんですかね、ボク自身が」
今年、黒宮監督は46歳になる。
ご自身の息子さんも間もなく高校進学の年になったという。
「自分の子供だったらここはちゃんと叱らないと、自分の子供だったら、ここで見捨てちゃダメだなって。そういう基準でやれるようになってきて、選手たちにどう接したらいいのか見えてきたみたいで」
優等生・大山は放っておいても自分で練習できる選手だったようだが、未完の大器・中塚には手を焼くこともあったそうだ。
「あんまりゆるい練習やってるんで、中塚に『帰れ!』って怒ったら、あいつ、ほんとに帰っちゃったことがあったんですよ。しょうがないなって、こっちも頭に来てたんですけど、なぜか部員全員に、『みんなで中塚、探しに行って来い』って言えたのも、もしかしたら、あいつをオレの“子供”だと思ってたからなのかもしれない……。今になって思うんですよ、そんなこと」