プロ野球亭日乗BACK NUMBER
阿部慎之助、内海哲也、山口鉄也。
巨人の生命線はDeNAには無い「経験」!
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2016/10/08 07:00
防御率1位の菅野智之が先発できないことは、巨人にとっては大きな痛手に違いない。エースの復帰を待つ事ができるか。
筒香と“タイマン”の阿部、短期決戦ならば……。
このアドバンテージを勝利に結びつけるキーマンには、経験豊富なベテラン勢、野手では阿部慎之助内野手、投手では内海哲也に山口鉄也の両左腕の名前を挙げてみたい。
昨年の阪神、ヤクルトとのCSでも打線で1人、気を吐いたのは阿部だった。7試合27打数で14安打を放ってシリーズ打率は5割1分9厘を記録。大振りを捨てコンタクトに徹するなど、打線の起点としてチームを引っ張った。ただ、そのCS敗退後に本人がこう語っていたのは、現チームでの阿部の存在感を改めて浮き彫りにするものでもあった。
「僕が何をしたら相手が一番、嫌なのか。チョコチョコとヒット狙いというより、やっぱり当たったらスタンドまでいくぞというのも必要だと思った」
走者一塁や走者のいない状況では、あえてチャンスメイクではなく一発を狙うことも必要で、それが阿部の役割だ。今季は右肩の故障で開幕に間に合わなかったが、交流戦からチームに合流し、7月24日のDeNA戦から4番に座ると、確かに“決めるバッティング”で結果を残してきてもいる。
DeNAの主砲・筒香嘉智外野手との“タイマン勝負”というわけだ。この勝負、長いシーズンではすでに全盛期を過ぎた阿部には難しいかもしれないが、短期決戦、この舞台だからこそ勝てるかもしれないのである。
阿部がそういう打撃ができれば、前を打つ坂本勇人内野手への投球にもプレッシャーをかけられる。また、この2人を警戒すれば後ろを打つ村田修一内野手やギャレット・ジョーンズ外野手の長打が生きることになるわけだ。
競り合いでの弱さが目立つ今季の巨人。
投手陣では、第3戦にもつれ込んだケースに先発が予想されるベテランの内海もそうだが、短期決戦の経験豊富な山口の存在がクローズアップされるのではないだろうか。
今季の巨人は逆転負けが38試合と、投手陣の踏ん張りが利かないケースが目立っている。DeNAとの対戦を見てみても、中盤以降にもつれるケースが多く、6回まで同点もしくはリードしていて、7回以降に追いつかれたり勝ち越されたケースが6度と、競り合いでの弱さが目立っているのだ。
もちろん一番のポイントはクローザーの澤村拓一投手が機能するかだが、その部分はもはや信じて託す以外にない。ただそこへのつなぎ方、ピンチでの継投という部分では、もう一度、山口の存在感にかける手はある。