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2016年に巨人が頼った13人の外国人。
クルーズ抹消は迷走劇の最終章だ。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byHideki Sugiyama

posted2016/10/06 18:00

2016年に巨人が頼った13人の外国人。クルーズ抹消は迷走劇の最終章だ。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

一発のあるクルーズは相手チームからすれば嫌な打者に違いない。それでも高橋巨人は、チームの規律を優先したのだ。

「外国人選手で凌ぐ」が崩壊した今年の巨人。

 そしてこのCS直前のクルーズの抹消劇は、今季の巨人の基本構想の崩壊を決定づけるものでもあった。

「とにかく今年は外国人選手で何とか凌いで欲しい」――こう話していたのは開幕前の堤辰佳GMだった。

 昨オフの原辰徳前監督の退任と、高橋新監督の急転直下の監督交代劇。加えて10月に発覚した野球賭博問題で、ドラフトを含め補強計画は大きな修正を余儀なくされている。

 そこで堤GMが求めたのが、外国人選手による穴埋めだった。

 新たにギャレット・ジョーンズ外野手を4番候補として、また日本球界にも慣れ勝負強い打撃と抜群の守備力を誇るクルーズを二塁のレギュラー候補として獲得。加えて投手陣では5年目のスコット・マシソン投手に2年目のマイルズ・マイコラス、アーロン・ポレダ両投手の3人を軸にスタートした。

 しかし2月のキャンプでマイコラスの右肩故障が発覚し、チーム合流は6月末までずれこんだ。一方、開幕時にローテーションの一角を期待されたポレダも、相手チームの執拗な揺さぶりに制球力を乱し、挙句の果てに左腕の故障で4月29日のヤクルト戦を最後に、一軍マウンドに戻ってくることはなかった。

今季巨人が契約した外国人選手はなんと13人。

 打撃陣も前述したようにクルーズが4月末に戦線離脱し、ギャレットも打撃不振から5月末に登録抹消されてファームで調整を余儀なくされるなど、苦しい状況が続いた。

 こうした事態に備えて球団が“保険”として獲得した選手がことごとく機能しなかったのも、誤算だった。

 今季、巨人が契約した外国人選手は全部で13人。その中で一軍登録されたのは前述の5人の他には打者ではレスリー・アンダーソン外野手とホセ・ガルシア外野手、アブナー・アブレイユ外野手の3人、投手ではエクトル・メンドーサ投手の1人だけだった。しかもいずれも数字的には助っ人としては物足りないものばかりである。

 特にキューバ・リーグの打点王の触れ込みで4月に獲ったガルシアは、一軍7打席でヒットは0本、3三振という成績で、わずか4日間で二軍にUターン。その後は日本の生活に馴染めず8月18日付けで契約を解除すると、キューバへの帰国途中で失踪するというオマケまでついてしまった。

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