プロ野球亭日乗BACK NUMBER
2016年に巨人が頼った13人の外国人。
クルーズ抹消は迷走劇の最終章だ。
posted2016/10/06 18:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Hideki Sugiyama
クライマックスシリーズ(CS)開幕を5日後に控えた10月3日、巨人はルイス・クルーズ内野手の選手登録を抹消した。
規定では10日間は再登録できないことから、これで8日に開幕するCSファーストステージの出場は不可能となり、ファイナルステージも初戦からの出場はなくなった。
「何と言ったらいいのか……チーム事情としか言えない」
3日の練習後に報道陣の囲み取材に応じた高橋由伸監督は、こう言って詳細については語らなかったが、関係者の話を総合すると抹消の理由は“懲罰”だった。
クルーズは今季、最終的には81試合の出場で打率2割5分2厘、11本塁打、37打点という成績だったが、4月28日の阪神戦で左足首に自打球を当て、約2週間に渡って戦線離脱。復帰後の6月にも再び下半身のコンディション不良でリタイアするなどケガに泣かされたシーズンだった。
その一方で、精神的なムラも激しく、全力プレーを怠るなどして何度もコーチから注意を受ける場面があった。4月の自打球も故障予防のために義務付けられているレガースの着用を忘れるという不注意が原因だった。
9月10日には夫人の出産に立ち会うために、球団の許可を得て一時帰国。再来日後の同20日に復帰してシーズン終了までプレーした。しかし、1日の阪神との最終戦で一塁への全力疾走を求めるチーム方針に反する挑発的な行為をとったため、これを重視した高橋監督が抹消を決めたという。
戦力的に痛手であることは否めないが……。
単純に考えれば、クルーズ不在はCSを戦う上では痛手であることは否めない。
規律違反があるなら、罰金を科すなりして先発を外して代打で使うという方法もあったはずだ。ただでさえ今年の巨人は右の代打不足がチームのウィークポイントで、相手にしてみればクルーズがベンチにいて、得点圏に走者を置いて出てくるなら、それはそれで嫌だったはずだ。
もちろん高橋監督もそうした戦力面でのマイナスは十二分に考慮した上で、それでも、これ以上、クルーズの和を乱す態度を許すことはむしろチーム全体に悪影響を及ぼすと判断。戦力減は覚悟の上で、登録抹消という結論に至ったようである。