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WBC、侍ジャパンを悩ます変則日程。
MLBの実力者と準決勝まで戦えない?
posted2016/10/05 07:00
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Nanae Suzuki
なんで今頃WBC予選? という気がしないでもないが、まあいい。
9月25日、ニューヨーク郊外のマイナーリーグ球場で行われた予選4組本大会出場決定戦で、イスラエルが英国を9対1で下し、1次ラウンドのソウルプールへの進出が決定。2017年のWorld Baseball Classic(以下WBC)に出場する全16カ国が出揃った。
予選を勝ち抜いたのはイスラエルとオーストラリア、メキシコとコロンビアの4カ国である。オーストラリアやメキシコ、コロンビアはメジャーリーガーを何人も輩出しているのでWBC出場に驚きはないが、イスラエルと聞くと少し不思議な気もする。
今さら言うまでもないことだけれど、メジャーリーグはWBCを「ベースボールのプロモーションの場」として捉えているので、単純に納得できないようなルールが幾つか存在する。
時代が時代ならディマジオはイタリア代表だった。
たとえば出場資格。決勝ラウンドの開催地にしてベースボールの生まれ故郷アメリカ合衆国が、「移民の国」という利点を最大限に生かして、親のどちらかが当該国の国籍を持っているか、当該国で出生していれば代表資格を与えている。
おまけに米国に移民した子孫に比較的、簡単に市民権を与えるイスラエルやイタリアのような国もあり、代表に選出された選手には、いわゆるユダヤ系アメリカ人、イタリア系アメリカ人が多い。もしもの話だが、昔の野球選手が時空を超えてWBCの代表になれるなら、通算4度のノーヒッターを成し遂げた左腕サンディ・コーファックスはイスラエル代表、56試合連続安打のメジャー記録保持者ジョー・ディマジオはイタリア代表になる可能性があるということだ。
それはともかく、WBC独特のルールがあるがゆえに現在、過去のいずれかにアメリカのプロ野球、すなわちメジャーリーグかマイナーリーグでプレーしている選手たちは多い。祖先が生まれた国への愛国心があるかないかは別にして、「どこかで聞いた名前だな」という選手が代表に名を連ねている。