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イラク戦直前、香川真司インタビュー。
アジア最終予選2戦の課題とこれから。
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byAFLO
posted2016/10/04 17:00
新しい戦術を模索中と言われるドルトムント。どんな状況になったとしても、香川の存在は必ずドルトムントの勝利に寄与するはずだ。
「あの2試合は振り返る必要はないと思います」
9月、ロシアW杯アジア最終予選は、ホームでUAEに敗れてスタートした。
続くタイ戦では勝利したものの、もっと快勝できたのではないかと見ているものにとってもフラストレーションの残る試合となったのは確かだ。だが、チームはそこで一旦解散する。選手たちがたとえ課題や、ブラッシュアップしたい手応えの一端を感じていても、否応なしに時間的に分断され、切り替えを余儀なくされる難しさが代表での戦いにはつきまとう。
――UAEに敗れた時はどんな感覚だった?
「もちろん……ホームで……あれだけのお客さんが期待を持って応援してくれた中で、不甲斐ないゲームをしてしまいました。最終予選の入りとしてはすごく悪かったと思います。
ただ、タイ戦での1勝は、大きいことです。あらためて何回も言いますけど、簡単に勝てる相手はいない。最終予選って1度出て経験しないとわからないことが多いなと、自分も2回目の最終予選ですけど感じます。
でも、あの2試合は振り返る必要はないと思います。
もちろん、経験と悔しさは次の試合で結果として証明していくしかないですね」
「僕は言い訳はしたくない」
――とはいえ、課題の残る2試合だったのでは? まずUAE戦後ハリルホジッチ監督は「我々のプレースピードが遅く香川を見つけられなかった」と表現しているけど、どう捉えている?
「その試合に関してはキヨ(清武)とケイスケ(本田)くんというトップ下タイプの選手がいて、オカちゃん(岡崎)と僕がいて。中にポジションを取る傾向が強かった分、すごく中が混雑する状況はあったのかなと思いますけどね」
――タイ戦ではそれを受けて、ウイングタイプを置く戦術に変更した。
「選手の距離感や、やることははっきりしたのかなという感じはしました。ただどちらにしろ僕は言い訳はしたくない。キヨが出た試合も、そこでまた違う良さを生かしていかなくてはいけない。誰が出てもそれぞれの強みを出して、どちらにも対応していかなきゃいけないと思っている」