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気性、脚質、3歳、フランス人騎手。
マカヒキの凱旋門賞、条件は揃った。
posted2016/10/01 07:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
日本で初めて海外競馬の馬券が買えるレースとなる第95回凱旋門賞(3歳以上GI、仏シャンティー芝2400m、10月2日、日本時間23時5分、現地時間16時5分)のスタートが近づいてきた。
5月の初回登録では過去最高となる11頭の日本馬がエントリーして話題になったが、出走するのはダービー馬マカヒキ(牡3歳、父ディープインパクト、栗東・友道康夫厩舎)だけとなった。
マカヒキは、1969年「ミスター競馬」野平祐二を背にしたスピードシンボリが着外に終わってから、この半世紀ほどで延べ20頭目のチャレンジャーとなる。'99年エルコンドルパサー、2010年ナカヤマフェスタ、そして'12、'13年のオルフェーヴルによる4度の2着はあったが、世界最高峰の頂に、いまだ日本の人馬は到達していない。
悲願達成が期待されるマカヒキは、同じコースで行われた前哨戦のニエル賞を完勝。その後も現地の小林智厩舎で順調に調整が進められている。主戦のクリストフ・ルメールがコメントしているように、70~80%の出来だったニエル賞よりグッとよくなっており、万全の状態で本番を迎えられそうだ。
気性、走り、3歳、騎手……。勝利の条件は揃った。
5頭立てという少頭数で、しかも格下が相手となったニエル賞に対し、本番は16頭立てで、メンバーが一気に強化される。
とはいえ、5月にイスパーン賞を圧勝したエイシンヒカリ、ニエル賞の3日前のGIIIシェーヌ賞を完勝したフランス調教馬のアキヒロ、そしてマカヒキ自身の走りから、ディープインパクト産駒のシィンティーへのコース適性が高いことは間違いない。
あとは、他馬との力関係だ。日本馬のレベルが世界トップクラスになりつつあることは、ドバイや香港など「中立国」で行われる国際レースの結果が示している。
そのなかでも今年の3歳はハイレベルと言われており、世代の頂上決戦であるダービーを勝った実力馬が、きっちり仕上がっているのだから、当然期待が高まる。どこに行ってもおとなしく、すぐ横になって眠るという遠征向きの気性、超スローとなった前走でも綺麗に折り合ったチャンピオンディスタンス向きの走り、斤量面で有利な3歳、そして、コース特性やほかの騎手、厩舎、馬主について知り尽くしているフランス人ジョッキーが鞍上と、条件が揃った。