話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
リオでの敗退劇から考える4年後――。
東京世代に“トルシエ式”の採用を!
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2016/08/31 17:00
数々の衝突はあったが、トルシエ監督は小野伸二ら若い世代を引き上げ、さらに結果を残したのも確かである。
トルシエ時代は「フラット3」を全世代に浸透させた。
A代表とともにU-20、U-23代表監督を兼務したフィリップ・トルシエは自らの戦術であるフラット3をカテゴリー別代表で浸透させ、世界大会で結果を出した。その結果、各カテゴリー別代表が同じスタイルのサッカーができるようになり、世代間の選手の移行がスムーズになった。若い選手のほうがトルシエの戦術を理解し、リードしていくという逆転現象さえ生まれたのだ。その申し子たちが次々とA代表の主力となり、2002年日韓W杯でベスト16進出という結果を出した。
U-20Wユース杯で準優勝、シドニー五輪ベスト8、W杯はベスト16と各世代間で結果を出した監督はトルシエしかおらず、そういう意味では日本代表監督で最も成功したとも言えるが、その手法は東京五輪に踏襲されるべきものではないだろうか。
これまでのような持ち回り制のような監督人事ではアジアを突破するのも難しく、世界では戦えない。東京五輪での金メダルのように、望むべきものが高ければ、それ相応(アメとムチ)の環境を整え、監督を軸に世界で戦えるスタッフを結集すべきだろう。
リオ五輪でメダルを獲得した他の競技は、そうした準備をしてきたことを忘れてはならない。