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世界を駆ける小さな王者KUSHIDA。
Jrヘビー級の明るい未来への招待状。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2016/08/25 11:00
団体の枠を超えてジュニアヘビー級の選手が集まる、理想の祭典「SUPER J-CUP」。ライガーのようにKUSHIDAがジュニア黄金時代を築けるか?
KUSHIDAがこだわる決め技「ホバーボードロック」。
伝説の銀色仮面“聖者”エル・サントは、「トペ・アトミコ」というコーナーから急降下して当たる頭突き技をよく繰り出していたが、フィニッシュは「カバージョ」と呼ばれる「ラクダ固め」だった。
相手の背中にまたがって、両手でアゴをロックして反らすという単純な荒ワザだ。メキシコにはラクダはいないので語源的には、「カバージョ」は馬で、荒馬を取り押さえる状況を示したものということらしい。
KUSHIDAの決め技は「ホバーボードロック」。
リング・コスチュームに合わせて現代的な名前がついているが、押さえつけての腕固めだ。KUSHIDAはこのフィニッシュにこだわりを見せる。
形としては、腕がらみ、キムラ・ロック、チキンウィング・アームロックなど呼び方はいろいろあるが、過度に締め上げれば骨折に至る危険な技だ。
柔道の木村政彦は1951年、ブラジルのマラカナン競技場で3万人の観衆の前でエリオ・グレイシーと対戦して、この技であきらめないエリオの腕を脱臼させて勝利した。
アントニオ猪木も1976年、パキスタンのカラチの国立競技場で地元の英雄アクラム・ペールワンの腕を脱臼させた。
そんな古典的な技を、KUSHIDAは入り方をアクロバティックにしてフィニッシュに選んだ。
そして、金丸もホバーボードロックに捕らえた。
「ジュニア・ヘビー級に骨をうずめる覚悟」
KUSHIDAは「ジュニアヘビー級に骨をうずめる覚悟」だという。
そして、ジュニアヘビー級の繁栄のために、今年はかなわなかったが、来夏のG1クライマックスには参戦したい意向を示した。
「ジュニアヘビー級の明るい未来へ皆さんをお連れします」
その言葉は自信に満ちあふれていた。