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世界を駆ける小さな王者KUSHIDA。
Jrヘビー級の明るい未来への招待状。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2016/08/25 11:00
団体の枠を超えてジュニアヘビー級の選手が集まる、理想の祭典「SUPER J-CUP」。ライガーのようにKUSHIDAがジュニア黄金時代を築けるか?
7年前まで「食えない生活」が、今ではスター。
7年前にスーパーJカップが開催されたときには、「海外遠征中」。そういうと、聞こえはいいが、カナダで「食えない生活」を送っていたのが真相だ。
それが、今では世界中のプロモーターから声のかかる存在になった。請われれば、世界のどこへでもすっ飛んでいく。
7月のスーパーJカップ開幕戦前には3週間のメキシコ遠征があった。
シャワーも屋根もない泥まみれのメキシコの場末のリングから、すでにKUSHIDAはルチャの檜舞台アレナ・メヒコのメイン・イベンターにまで成長していた。
通常5試合組まれるルチャだが、ポスターや宣伝のチラシの対戦カードに印刷された名前の文字の大きさが違う。
相撲の番付みたいなもので、かつては、一番下の小さな文字を探さなくてはならなかった。それが、今では一番上に「KUSHIDA」の文字が大きく目立っていた。
昔の習慣でポスターを下から見始めたら「アレッ、名前ないよ」なんていう笑い話になりそうなほどの、急激な成長ぶりだった。
ルチャ・リブレは空中戦から関節技まで多岐にわたる。
1983年5月生まれのKUSHIDAは、33歳だ。
プロレスラーとしては、一番いい年頃ということになる。
ノアの石森太二、拳王、タイチを下して勝ち上がった決勝は、GHCジュニア・ヘビー級王者・金丸義信とのちょっとクラシックな戦いになった。
メキシコのタイトルマッチを意識したものかもしれないし、逆に10年のキャリアの差から生まれた戦いかもしれなかった。
ヘッドロック、フェイスロックや腕ひしぎ十字固めの攻防も織り込まれた。
ルチャ・リブレは空中戦のイメージが強い。
それは派手だし見栄えもするから、イメージとしてはそうなのだが、関節技も古典的なものから多種にわたる。