猛牛のささやきBACK NUMBER
「初回はノーアウト満塁でもいい」
オリ・若月健矢に同居する強気と繊細。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/08/17 11:30
昨年の一軍出場は5試合。3年目にして一気に正捕手の座に手をかけた若月健矢、武器の守備に加えて打撃にも期待がかかる。
森友哉とのやりとりを振り返る姿は楽しげ。
今年7月29、31日の埼玉西武戦で初めて、若月と森がともにスタメンマスクを被ってプロで対戦した。この2試合はともにオリックスが勝利し、若月は2試合とも2安打と打撃も好調。ヒットを打った後の打席では、捕手の森が「打つなよー」と恨めしそうに言い、若月は「オレだって必死だよ!」と返した。
「たぶん今、あいつも同じところで悩んでると思う。スローイングとか配球とか……。スローイングが、あいつは高くいくことが多くて、僕はワンバンになる。つらいっすね(苦笑)。気持ちがほんとにわかります」
そう言いながらも、同級生とのやり取りを振り返る若月はどこか楽しげだった。
見るオリンピックには興味がなくても、“出るオリンピック”となれば話は別だ。野球は2020年東京五輪の追加種目に決定した。
「出たいですね」と若月は意欲をのぞかせる。
気が早いのはわかっているが、今年得ている教訓を活かし、この先、勝ちにつなげられる試合が増えればあるいは……。現在下位に沈むチームにあってもそんな期待を抱かせてくれる捕手である。