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競泳界の“鬼門”自由形リレーで銅。
32歳松田が託した東京での金メダル。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byYohei Osada/AFLO SPORT

posted2016/08/10 17:50

競泳界の“鬼門”自由形リレーで銅。32歳松田が託した東京での金メダル。<Number Web> photograph by Yohei Osada/AFLO SPORT

4×200m自由形リレーの英雄たち。左から松田丈志、小堀勇気、萩野公介、江原騎士。

所属先も普段教えるコーチも違う3人が一緒に練習。

 これは異例のことだった。3人は所属先が異なり、ふだん教えているコーチも違う。それでも一緒に集まる期間を作り、しかも1人のコーチのもとで練習を行なってきたのだ。

 メンバーを預かったのは、松田のコーチを務めてきた久世由美子だった。

「まとめようというよりも、3人の持ち味を絶対生かそうと思いました」

 こう話す久世のもと、1つのチームとなるために何度も合宿を繰り返し、同じメニューで練習に励んだ。

「所属先それぞれで練習する選択もありましたが、3人でやることで記録に対する執念や自分たちの気持ちが明確になっていったと思います。みんなでやれてよかった」

「丈志さんが引っ張ってくれる練習を見せてくれた」

 ともにトレーニングに励む中で3人を引っ張ったのは、やはり松田だった。

 小堀は言う。

「僕は練習に身が入るタイプではないんですけど、丈志さんに発破をかけられたり、僕らを引っ張ってくれるような練習を見せてくれたりしました」

 松田の練習ぶりは江原にも刺激を与えた。

「練習中の気迫、絶対にメダルを獲りたいというオーラが出ていて、僕と小堀君も続かないといけないと思いました」 

 当の本人、松田は言う。

「3人で一緒に国内で調整するとなってから、自分が引っ張っていかないといけないと思いましたし、2人に厳しいことを言うこともありました」

 チームは金メダルを目標に掲げていた。そのためには、生半可な努力では届かないことを知っていた。松田自身、オリンピック出場は通算4度目。北京、ロンドンではそれぞれメダルを手にしているが、表彰台に上がることがどれだけシビアかが身に染みて感じていた。

【次ページ】 すべては「この4人でメダルを獲りたい」の一心。

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