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甲子園初戦突破でUSJか吉本新喜劇!?
2回戦までの“暇”をどう過ごすか。
posted2016/08/12 07:00
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Hideki Sugiyama
「甲子園の開幕日の試合は負けたら最悪だけど、勝ったら天国だよ」
誰だったか、以前、そんな風に話していた高校野球の監督がいた。
負けたらどこよりも早く帰らなければならないが、勝てばどこよりも早く緊張感から解放され、間が空く2回戦まで甲子園に来た喜びを満喫できる――というのが、その理由だった。
大阪、兵庫以外の代表校は毎日、甲子園周辺のグラウンドを練習場所として割り当てられるが、2時間しか練習時間は確保されていない。つまり、それ以外の時間は案外、「暇」なのだ。
駒苫全盛期にはUSJで遊び、吉本新喜劇に行く高校も。
駒大苫小牧が強かった頃、当時の監督を務めていた香田誉士史(現・西部ガスコーチ)は初戦に勝つと決まって選手たちをUSJで遊ばせた。締めるところはとことん締め、遊ぶときはとことん遊ばせる。その緊張と緩和が、当時の駒大苫小牧の強さでもあった。
それ以外のチームでも初戦を突破した後は、吉本新喜劇に行くのが恒例になっているという話を聞いた記憶がある。
そのせいか、今はどこのチームも、そうした「ご褒美」が当たり前になっているのではないかと思っていた。
しかし先日、早実の監督である和泉実に同じ質問をすると、「行くわけねーじゃん!」と驚かれた。
「甲子園に遊びにいってんじゃねーんだからさ」
ごもっともである。ただ、どちらかというと自由な雰囲気が売りの早実だけに、やや意外な思いがしたものだ。