リオ五輪PRESSBACK NUMBER
世界記録まで0.54に迫った金藤理絵。
伊藤華英「競泳は生き様が現れる」
text by
伊藤華英Hanae Ito
photograph byAFLO
posted2016/08/10 07:30
インターハイ優勝など早くから注目されてきた金藤理絵も、27歳とベテランの域に入ってきた。心身が充実した今、彼女は一番強い。
自力でステップアップした選手は、強い。
しかし、「理絵は変わった」と私は思う。加藤コーチによれば、昨年の10月頃からは、自分からトレーニングメニューを考えるようになったという。
現役を辞めることも考えた理絵。続けさせたい加藤コーチ。決して一枚岩ではなかったが、それでも二人三脚で泳ぎを進化させてきた。1つ1つのストロークを細分化して分析し、一歩ずつ自分のストロークを完成させて来た。
メンタル、フィジカルな問題をいくつも乗り越え、自力でステップアップしたアスリートは強い。「突き抜けた」というやつだ。
アスリートがよくインタビューで聞かれる「やめようと思ったことはないですか?」という質問。彼女は間違いなく、「あります」と答えるだろう。
そして今、彼女は再び夢の途中にいる。しかも、2度目のオリンピックは自分で決めた道だ。
「沢山の人に応援されて本当に嬉しいです」
今まで2番手だった彼女も、今やエース。そして、高地トレーニングも充実した練習ができた。逆説的だが、今のどんな結果でも良いと思える境地にいるのではないだろうか。準備は万端。やれるだけのことはやってきた。
純粋で控えめなエースは、リオのプールで覚悟のレースをする。