野球のぼせもんBACK NUMBER
日本ハムと3差、8月週末は天王山続き。
SB逃げ切りへ大隣憲司の左腕は唸るか。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/08/02 07:00
過去3シーズンで挙げた通算勝利数は11にとどまるが、大舞台に“強くなった”大隣の存在はソフトバンクに欠かせないはずだ。
「落ち着かなきゃ」ではなく「堂々とする」気構えで。
いくつかのクエスチョンには様々な状況が想定されている。フォアボールを出したら、ヒットを打たれたら、失点したら……。その時に何を思い、どのように向き合うか。ペンを走らせる。
「初めの頃、僕は『落ち着くこと』と書いたんです。それをメンタルの先生に送ったら、その答えはよくないと言われました。“落ち着かなきゃ”と考えるというのは、つまり、実際は落ち着いていない状況に陥っているから。そうじゃない。とにかく前向きな、強いプラスの言葉を書くことが大切。そうすることで、実際にそんな場面がやってきても、言葉のように対処ができるんです」
だから記すのは「仁王立ち」や「堂々としている」などの言葉を選ぶのだという。
「きっかけを作ってくれたのは嫁さん。彼女がその先生の本を読んでいた時に、『お願いやから、メンタルのトレ―ニング受けて。ケンに足りんのはメンタルだけだと思うの。一生のお願いだから』ってすごい勢いで迫られたんです(笑)」
7月27日、その妻とのあいだに待望の第1子が誕生した。
「もちろん、新たなモチベーションになっていますよ」
真夏の天王山を制するものが今年のパ・リーグを制するだろう。そして、まだその先には日本一を目指す激闘も待っている。
大隣の左ウデが、鷹をV3へと飛翔させるのではなかろうか。