オリンピックへの道BACK NUMBER
水泳・入江陵介のスタイルは不変。
「普通」のままで世界と戦い続ける。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJMPA
posted2016/07/26 11:30
4月の日本選手権で入江は200メートル背泳ぎを制した瞬間、表情を崩すことはなかった。
「自分の泳ぎに集中していくことができれば……」
ときに、ただ感心するしかないほど強靭なメンタルや、特異な精神力を持っていると感じるアスリートがいる。
入江は決してそうではない。それでも、世界の第一線で戦い続けてきた。大きな注目を集め、プレッシャーもかかる中で、オリンピックや世界選手権のメダリストとなった。
何度も気持ちを揺さぶられながら、壁や挫折を懸命に乗り越えてきて結果を残してきたこれまでがある。それは入江ならではの強みであり、財産でもある。
2016年は、決して順調に過ごしてきたシーズンとは言えない。しかし、これまでの豊富な経験に培われた土台がある。
「自分の泳ぎに集中していくことができれば、可能性は見えてくると思います」
3度目の大舞台を見据える入江は、7月18日、日本を発った。