オリンピックへの道BACK NUMBER
強盗に遭っている人は見捨てろ!?
五輪開催地リオは「最悪」の状況。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2016/07/25 07:00
空港に掲げられた「WELCOME TO HELL」の横断幕。この状況がリオの現状を象徴しているのは間違いない。
「今回は親に観に来ないようにお願いしました」
今大会の状況を表す事柄として、選手の両親などが現地入りを回避するケースが相次いでいることもあげられる。
過去の大会に比べ、費用が高額であることもあるが、それ以上に、治安などの面が理由である場合も多い。
ある競泳の選手はこう語る。
「今回は親に観に来ないようにお願いしました。もし来ていると、自分も心配で競技に集中できなくなるので。次の大会(2020年の東京五輪)で見せてあげるから、と説得しました」
柔道男子60kg級の高藤直寿も「危ないと聞いたので」と長男のブラジル行きをあきらめたことを壮行会で明らかにしている。そのほかにも、応援に来ないように親族関係にお願いした選手は少なからずいる。
リオが明らかにした“7年後を見通す難しさ”。
それもまた、これまでのオリンピックと異なる、リオを取り巻く緊迫感を示している。
開催期間中、警備人員を増強するなど、大会運営側も改善を試みてはいる。
それが功を奏し、あらゆる不安のすべてが杞憂に終われば、それにこしたことはない。
今、オリンピックは、開催の年の7年前に開催都市が決められる。
7年後を見通すことの難しさを物語っている。また、招致活動時に並べられるセールスポイントがいかに現実とずれていくかを示している。
それはリオデジャネイロに限ったことではない。