スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
イチローの秒読みと好調マーリンズ。
あと3年で「無人の野」に突入する!?
posted2016/07/22 07:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
AFLO
イチローの3000本安打がカウントダウンに入ってきた。7月18日現在、2994本。試合日程を見ると、18日から21日までがフィラデルフィアでの4連戦。22日から31日まではホームのマイアミに戻って、メッツ、フィリーズとの3連戦、さらにはカーディナルスとの4連戦が控えている。
となると、フィラデルフィアでの連戦では代打や途中出場で少しずつ安打数を積み重ね、22日以降にホームで大記録達成、と読むのが妥当なところだろう。
祝福の準備はすでにあちこちで見受けられている。テレビでご覧になった方も多いだろうが、15日(金曜日)のカーディナルス戦では、敵地セントルイスでスタンディング・オベーションが起こった。8回表、イチローが代打で登場した瞬間だ。観客はほぼ総立ちとなった。
カーディナルスの捕手ヤディエル・モリーナ(34歳)は、しばしホームプレートから離れて立ち、「イチローの瞬間」を演出した。さすがに「ベースボール・シティ」ならではの粋な計らいだった。イチローも礼を返した。インサイドアウトのお手本のような打撃で、遊撃手の頭上を越えるきれいなラインドライヴのヒットを放ったのだ。
対戦投手に敬意を表されるイチロー。
土曜日には、カーディナルスの名投手アダム・ウェインライト(34歳)がマナーを見せた。やはり8回表、イチローが代打で登場した際にすっとマウンドを降りて、敬意を表したのだ。イチローはサードゴロに倒れ、続投したウェインライトは、6~7年前の全盛期を彷彿させるような完封劇を演じた。
こういうシーンがあるから、野球は見つづける価値がある。17日の日曜日、イチローは7月2日(対ブレーヴス戦)以来の先発出場を果たし、3安打の固め打ちを見せた。中前シングル、左翼線二塁打、遊撃内野安打。
マーリンズは対カーディナルス3連戦を2勝1敗と勝ち越し、ナ・リーグのワイルドカード・レースでドジャースに次いで2位につけている。地区優勝はむずかしいかもしれないが、ワイルドカードによるポストシーズン進出は十分に射程圏内だ。当面の敵、メッツやカーディナルスがいまひとつ勝ち切れていないだけに、ここはするりと抜け出すチャンスではないか。