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リオ五輪ロスからどう立ち直る?
新なでしこ、新たな船出の北欧遠征。
text by
日々野真理Mari Hibino
photograph byMari Hibino
posted2016/07/21 17:00
スウェーデンの広大な空の下、練習に汗を流した横山久美と永里優季。新チームの核となれるか?
永里が注目するのは……22歳の横山久美。
練習中とその前後、その場で思ったことをすぐに伝える永里の姿が、以前に比べてあきらかに増えている。自分がこのチームの中で、どうリーダーシップをとっていくか、五輪予選以降、彼女は考え続けていた。そのために、多くの他ジャンルのリーダーに積極的に会い、話を聞いてまわっていた。
永里が積極的にコミュニケーションをとっている選手の1人が、22歳の横山久美だ。
ここのところ代表でも少しずつ存在感を見せはじめ、これまで12試合出場した中で、5ゴールをあげている。なでしこリーグでは、現在12ゴールで得点ランキングトップを独走中の、将来を有望視されてきた選手だ。
「今は、代表に定着できるように、とにかくがんばりたい」という横山。
今回のテーマを聞くと、
「似たようなドリブラーの人がいないから、どんどん自分を出す事をテーマにしています。所属クラブでも言われている“前をむく”ということを特に意識したい。クラブで本田美登里監督から普段言われていることや、やっていることがここで生きている。途中交代で入ることが多いから限られた時間の中でも役割をしっかり果たしたい。アメリカ遠征では、得点以外いいところがなかったので、今回は得点もとって、内容も伴うようなプレーを意識したい」
と意気込みを語る。
五輪予選で涙を流したのは、決して無駄ではなかった。
「わからなかったら聞く。経験豊富な選手たちに聞いて、吸収できることがたくさんあって楽しい。だからこそ、積極的に自分から聞きに行くようにしているし、いろいろ指摘してもらったり、指導してもらえることがありがたいんです」(横山)
積極的に彼女が先輩たちに質問をぶつけられるようになったのは、前回のアメリカ遠征から。
五輪予選で先輩たちとともに悔し涙を流した経験があるからこその変化だ。
悔しい思いは決して無駄ではない。少しずつでも前に進むことで、それを将来のプラスにしていける。彼女を見ているとそんなことを思わせてくれる。