松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
「不調=マイナス思考」は本当か?
松山英樹に参考にしてほしい46歳。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byAFLO
posted2016/07/19 11:20
5月のプレーヤーズ選手権7位を最後に、予選落ちが続き苦しんでいる松山英樹。今はまだ、問題の所在を探す段階だ。
46歳・ミケルソンの驚くべきプラス思考。
43歳で全英初制覇を達成し、46歳で今年のトゥルーン制覇に迫ったミケルソンのプラス思考には本当に驚かされる。肉体の老化、体力気力の低下を痛感させられる年齢になりつつも、彼は自身の心身を必死の努力によって正反対へ向けている。
「僕がベストスイングでベストショットを打っていたのは10年前だけど、そのころの僕は今より体重が25ポンドも重かった。でも今は筋力を付けたことで、体が格段に強化され、スイングは10年前と同様、ベストに近い」
46歳の現在の肉体の方が10年前より頑丈で、しかもショットは10年前と同様のベストな状態だとすれば、現在はキャリアにおいて最高の状態ということになる。
ミケルソンのそんなロジックは、半年前にブッチ・ハーモンから移行した新コーチ、アンドリュー・ゲットソンから伝授されたものだ。昨今のミケルソンの安定したスイングとスイングプレーンも、ゲットソンがフィックスしてくれたもの。
「アンドリューがいてくれたからこそ、僕の今がある」
ステンソンやミケルソンから参考にできること。
ミケルソンはスイングやギア、バッグの中身等々、何かを変えることがしばしばある。それは昔からの彼のネイチャーだ。だが、そうやっていろんなものを変えながらも、彼は様々な専門家たちに助言や指示を仰ぎ、それぞれのプロフェッショナルを尊敬する姿を決して変えないできた。
そんなステンソンやミケルソンの在り方は、真似をする必要はないけれど、松山に参考にしてほしい面はある。変えるべきもの、変えずにおくもの、元に戻すものを、どう見据えるか。
好調なときは自ずとプラス思考になるものだが、不調なときにマイナス思考をプラス思考に転じるのは容易ではない。
だからこそ、アクションを起こし、無理にでも「-」を「+」へ変えてほしい。本当の底力、本当の忍耐力、挽回力が松山英樹にあるのかどうか。
苦しんでいる今こそ、真価が問われている。