話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
二川孝広は東京Vで“ムフフ”と笑う。
内気な救世主は、既に信者を獲得中。
posted2016/07/14 11:30
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
二川孝広らしさ全開のホームデビュー戦だった。
ガンバ大阪からJ2の東京ヴェルディに期限付き移籍をした二川は、ファジアーノ岡山戦(7/10)で初スタメン出場した。決勝ゴールのアシストを決めるなど、2-1での勝利に貢献し、チームに3試合ぶりの白星をつけた。
「アシストは、一瞬何個か判断は迷いましたけど、まぁ左でいこうと(笑)。あの辺かなって(出したら)、ちょうどいいところにいきました。運がありましたね」
そう話を終えるとムフフと笑った。
ガンバ時代から“ムフフ笑い”が出る時は、照れ隠しもあるが、自分の調子が良く乗っている証拠だ。
二川のラストパス、それも浮き球は絶品。
決勝点のアシストもそうだが、この試合では二川らしいプレーが随所に見られた。精度が高く、絶妙なタイミングのラストパスが持味のひとつだが、ガンバ時代から特に印象深いのが相手の意表をつく浮き球のパスだ。
岡山戦でも前半9分にドウグラスに決定的な浮き球のパスを出し、後半3分にも相手DFの背後にふわりと浮かし、高木に決定的なパスを通した。その後もカウンターなどでチャンスを演出し、ヴェルディの攻撃陣をリード。また、ポジションはトップ下だが、攻め残りせずに守備にも奔走する。攻守に全力で走り回り、後半42分に交代するまで存在感を示し続けたのである。
「やっぱり最初なんで、結果を出してホッとしています。全体的にはある程度チャンスを作れていたと思うけど、もうちょっと精度の高いパスを出してチャンスにつなげていきたいなというところはあります」
移籍直後は、どんなに実績がある選手でも結果を出すまでは落ち着かないというが、二川は初スタメンで決勝点をアシストした。ホッとしたのは本音だろうが、それに溺れないのが二川らしい。