加地「ほんとウザイって思ったもん（笑）」

　元チームメイトで、現在は岡山に所属する加地亮は、ガンバ時代と変わらず、うまさといやらしさを兼ね備えた二川のプレーに舌を巻いたという。

「あの（決勝ゴールの）アシストは、うまくタメたなぁ。タイミングをズラして中に入れているんでDFの対応がちょっとズレるんですよ。それ、フタ（二川）は計算しているからね。それに、こぼれ球をほとんどフタに拾われた。拾っておさめられるんで、やっていてほんとウザイって思ったもん（笑）」

　二川への愛情が透けるコメントだが、こぼれ球を拾えるのはポジショニングと読みと反応に優れ、よく動けているからだ。

　実際、J1では出場機会を失ってもガンバ大阪U-23のOA枠でJ3の試合に出ていたし、練習も若手に交じってしっかりやっていたのでコンディションは上々だった。とはいえヴェルディに合流して日が浅いので、FWドウグラス、MF南秀仁とのコンビネーションはどうかなと思っていた。ところが、ピッチ上では息の合ったところを見せてくれた。

「僕がボールを持っていると、動いてくれるんです。分かりやすい動き出しをしてくれるので、それに合わせていくだけ。みんなよくしてくれるし、引っ張るタイプではないですけど、若手に交じって楽しくやれています（笑）」

極度の人見知りで、代表からも「帰りたい」。

　二川がヴェルディに移籍すると聞いた時、少しホッとした。初めての移籍で、もともとは極度の人見知り。入団当初から数年間は口数が少なく、記者泣かせと言われた。日本代表に選出されても他の選手とコミュニケーションが取れず、「帰りたい」と愚痴をこぼすほどだった。だが経験を積み、人間的にも成長したせいか、話をするのはもちろん今や独自の世界を漂わす選手になった。

　しかし、チームメイトに気を使ってしまう繊細な性格は変わらない。ガンバ時代、春キャンプの時の部屋の相棒は、毎年新人や若手だ。練習のパートナーも若手がほとんどだ。当時の西野朗監督にその理由を聞くと、「あいつをヤットと一緒の部屋にすると緊張して、ストレスになってハゲちゃうんだよ。だから絶対に同世代や上の選手とは一緒にしない」と苦笑まじりに語ってくれた。

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