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半年間で31試合に出場した遠藤航。
過酷スケジュールを乗り越えた方法。
posted2016/07/01 07:00
text by
轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
「しんどさは間違いなくありますよ」
浦和レッズのリオデジャネイロ五輪代表キャプテン遠藤航は、自身のコンディションについてこう話した。五輪代表による1月のアジア最終予選から、浦和でのゲーム、日本代表のゲームと、ちょうど2016年の半年間で通算31試合に出場してきた男は、自分とも戦いながら五輪前のシーズンを過ごしている。
昨年12月、五輪代表チームは強化合宿に入り、最終予選を戦った。通常のシーズンのサイクルとは全く異なるオフを過ごした上に、多くの選手たちは予選が終了した後にそのままクラブのトレーニングキャンプに合流した。基本的にシーズン前のキャンプは、どのチームも年間を戦い抜くためにフィジカルを強化しつつ、多くのトレーニングマッチを組んで戦術を固めていく。それは、選手にとって大きな負担になる。
それが原因とは言い切れないが、五輪代表選手たちには負傷者が多く出てしまった。その中で、遠藤は大きな負傷をすることなく、AFCチャンピオンズリーグに参戦した浦和の厳しい日程を戦い抜いている。そこには、遠藤が大きな要因と感じている浦和側の配慮があったという。
五輪予選後、チームが与えた1週間のオフ。
「予選の後に、チームから1週間のオフをもらって、それが大きかったですね。(ミハイロ・ペトロヴィッチ)監督は『もう少し休んでもいい』と言ってくれたんですけど、自分も早く合流したい気持ちもあったので。ただ、そういうオフがなかった選手たちにケガ人も出ているので、助かったなとも思います」
今季、湘南ベルマーレから移籍した遠藤が、鹿児島の指宿で行われていた浦和の第2次トレーニングキャンプに合流したのは2月8日のことだった。環境が変わり、レギュラーポジションを確保するためにはすぐにでもチームに合流したかったはずだ。
ペトロヴィッチ監督も、期待の新戦力をチームに融合させるための時間を少しでも長く取りたかっただろう。しかし、最終的には遠藤のコンディションを優先した。その判断が、今に生きている。