猛牛のささやきBACK NUMBER
田口二軍監督も認めるチャンス強さ。
オリ・奥浪鏡の「打点への嗅覚」。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/06/25 11:00
6月14日の初打席。阪神・能見を相手に初安打となるセンター前ヒットを放った。
田口二軍監督「打点に対する嗅覚を持っている」
20歳とは思えない肝の据わったデビュー戦。その姿に、満を持して送り出した二軍のスタッフ陣は目尻を下げた。
辻竜太郎二軍打撃コーチは、「すごく集中して、いい顔してプレーしていましたね。あの雰囲気の中でもしっかりボールを見極められているというのは、映像で見ていてこっちも嬉しかったです」と喜んだ。
「チャンスにめっぽう強いバッター」というのが、二軍首脳陣に共通する奥浪評だ。田口監督は言う。
「勝負強い。打点に対する嗅覚を持っている面白いバッターだなと思います。ホームランはそんなに打てるバッターじゃないかもしれないけど、打点を稼ぐことに関しては、天性のものがあるんじゃないでしょうか」
憧れの黒田博樹から放った二塁打。
一軍ではまだタイムリーは出ていないが(6月23日時点)、デビューから4試合連続で安打を放った。昨年から強化し安定感を増してきた下半身をしっかりと地につけ、一軍の投手にひるむことなく思い切りバットを振る。
「圧倒されないように、先に振ってやる、という感じですね。フルスイングしておけば、負けないだろうって」
阪神戦の次は故郷・広島でのカープ戦だった。幼い頃はカープファン。憧れの人だった黒田博樹から二塁打を放ち、「ちっちゃい頃から見てきた人と対戦できてめっちゃ嬉しかったですし、その人からヒットを1本打てた。今後一軍で生き残っていく上で、とても自信になる1本」と感激した。
ただ、北川博敏一軍打撃コーチは、「あんまり誉めないでください。あいつはすぐ調子に乗るんで」と釘を刺す。
「まだ1カ月も経っていない。これからが本当の勝負です。一軍のピッチャーとどんどん対戦していく中で、弱点もバレて攻められ方も変わっていくだろうから、自分でそういうことを整理して、どれだけ思い切りのよさを続けられるか、ですね」