ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
日本ゴルフ界の衰えない年長者たち。
谷口徹が若手に「5歳、オレにくれ」!
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byAFLO
posted2016/06/26 11:00
谷口徹はあと2年でシニアツアーに出られる50歳。しかし日本の多くの20代たちは、まだ彼を越えられていない。
トップ選手とラウンドし、プロコーチに教えを請う。
その中でも、収穫はメジャーでこそ得られるものだったのである。
事前の練習ラウンドでは“出稽古”を惜しまず、果敢に世界トップクラスの選手と回った。開幕前日には今大会2位、前回オークモントで行われた2007年も2位に入ったベテラン、ジム・フューリックとプレーした。その前日には世界ランキング7位のヘンリック・ステンソンが一緒だった。
「(松山)英樹も『彼はヤバイ』と言っていたけれど、アイアンショットが本当にエグかった。ボールがねじれないまま、ピンにしか飛んでいかない」
そのステンソンを指導するのは、多くの欧州選手教えるピート・コーウェンというプロコーチである。谷口はその名伯楽に、関係者を通じてスイングのアドバイスを授かった。「その年齢だってまだ飛距離は伸びる」と激励もされ、表情は嬉々としていた。
コースサイドでも、ニュージーランドの注目株ダニー・リーのトレーニングを覗き見するチャンスがあった。
「ああいうトップの選手がやっているのだから、最低でもあそこまでやらないと僕は追いつけない」
デイに遠慮してしまい「もったいないことを」。
たっぷり吸い込んだ超一流の空気。しいて言えば、開幕3日前の練習日のことが心残りだという。
事前ラウンドは、各選手がスタート時刻の書かれたリストに、自由に自分の名前を書き込み、先着順で決まるシステム。
「ジェイソン・デイの名前があったのに、遠慮して前の組に自分を入れてしまった……。世界ナンバーワンと回れたのに。もったいないことをした」
アメリカの食事による胃もたれを引きずりながら、限られた時間を有効活用しようと必死だった。
目を輝かせて「メチャメチャ刺激を受ける。こっちは」と谷口は言った。裏を返せば、普段戦いの場としている国内ツアーとは、大きすぎるギャップがあるということだ。