錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
いま錦織圭に欲しい「Something new」。
2016年シーズン後半の戦略を考える。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2016/06/17 11:30
全仏の期待が大きかったゆえに、その後の反動も大きいということか……。芝の季節に向け、錦織の気持は切り替わるか?
チャン・コーチがついてから、錦織はタフになった。
全仏オープン直前の囲みインタビューでマイケル・チャン・コーチは「フィジカル・トレーニングの成果が出ている。トーナメント間のトレーニング期間はもちろんのこと、大会中もトレーニングメニューを課し、彼は非常に勤勉に取り組んできた」と話していた。
ケガが減り、欠場や棄権をする大会も少なくなったばかりでなく、明らかなスタミナ切れで敗れる試合もほとんど見られなくなった。錦織がトップ10、その中でもトップ5に近いポジションをキープしている要因だろう。
この時期に、多かれ少なかれ疲れが出るのは錦織に限ったことではない。
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クレーシーズンをトップギアで戦ってきた選手はなおさらだ。
張り詰めていた緊張がふとほどけたときに起こる現象。もしかすると、選手たちがこのタイミングで自分の環境に積極的な〈変化〉を取り入れたがるのは、心身を健全に保つための戦略でもあるのかもしれない――。
レンドル、マッケンローなど、レジェンドコーチが続々。
ややブームが衰えたかに見えたレジェンドコーチの動向が、いま再び注目を浴びている。
全仏オープンでグランドスラム8回目の準優勝に終わったアンディ・マレーが、以前コーチだったイワン・レンドルと“ヨリ”を戻した。
また、錦織の同世代ライバルの1人、ミロシュ・ラオニッチが〈悪童〉ジョン・マッケンローをコンサルタントとしてチームに招いたというのも興味深い。
ラオニッチは、今年初めには全仏オープン・チャンピオンで元世界1位のカルロス・モヤをつけたばかりだったのだが、そのモヤの椅子はそのまま維持してのマッケンロー加入である。元トッププレーヤーを帯同する選手は多くとも、元世界ナンバーワンを2人も自陣に擁するのはラオニッチくらいだろう。
では、目的は何か。