松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
緊張したマスターズ、フツウの全米。
松山英樹が挑む、優勝への「難所」。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2016/06/16 11:30
メジャーの優勝候補から優勝者までの距離は、人によって大きく異なる。松山英樹にとってその距離はいかほどだろうか。
メジャー優勝への自信が増大しているに違いない。
松山が全米オープンに出場するのは今年が4回目になる。
初出場した2013年大会はプロ転向した彼が世界へと羽ばたき始める起点でもあった。初出場にして10位に食い込み、全英オープンでも6位と健闘した。その年の秋には早々に翌年の米ツアー出場権を手に入れ、すでに通算2勝、世界ランキングは15位前後を維持。
今年はマスターズでも最終日を首位に2打差の3位で迎え、メジャー優勝が現実的なところまで近づいた。
そして迎えた今年の全米オープンは、優勝への自信が増大しているに違いない。そうであってほしい。日本人初の全米オープン優勝を成し遂げてほしい。そんな期待を周囲は膨らませている。
松山自身、万全の備えでオークモントに挑もうと努力してきた。5月末にオークモントを訪れ、18ホールを回って下見を済ませた。その翌週はメモリアル・トーナメントに出場。2014年に米ツアー初優勝を挙げた大会だが、今年は初日からショットもパットも乱れ、今季2度目の予選落ちを喫した。しかし、すぐさま気持ちの切り替えに努め、「しっかり準備して全米オープンに臨みたい」。
「状態は悪くない」けど「わからない」。
オークモントには前週の金曜日に現地入りし、土曜日に11ホール、日曜日に18ホール、月曜日に9ホールを回った。火曜日はラウンド練習は行わず、練習場周りだけで調整し、水曜日は9ホールをプレーして最終調整。
「状態は悪くないです」
予選落ちしたメモリアルでのショット、パットの不調は、すでに修正ができている様子。だが、オークモントのコース設定やスコアの予想といった見通しの話に対しては、松山はしきりに首を傾げた。
コースは難しいかと問われると「別に普通だなあ、難しいなあという感じです」。どこが難しいか? 「試合が始まれば、わかるんじゃないですか」。
バーディーを狙っていけそうだと思えるホールは1つも無いのかと尋ねてみると、「うーん」と数秒間、考えた末、「わからないですね、それは」。