熱血指揮官の「湘南、かく戦えり」BACK NUMBER
湘南・曹監督の日記から読み解く、
若手の育成&抜擢のタイミング。
text by
曹貴裁Cho Kwi-Jae
photograph byShonan Bellmare
posted2016/06/15 11:00
1stステージ終盤になっても、積極的な攻撃の姿勢を失わず戦えている湘南。曹貴裁監督と選手たちの、固い意志はブレていない。
ガンバと互いの良さを出しあう激しい攻防戦の末……。
<試合結果>
6月11日(土)J1・1stステージ第15節
湘南3-3 G大阪
(@市立吹田サッカースタジアム)
先制したのは湘南。10分、相手DFのクリアボールを端戸仁が右足でボレー、ゴールに突き刺した。前半終了間際に追いつかれて迎えた後半は、互いに良さを出し合う激しい攻防に。82分には宇佐美貴史のゴールで2-3と勝ち越されるも、直後に途中出場のMF下田北斗がこの日2得点目となる豪快なミドルシュートを決め、ドローに持ち込んだ。
<試合を終えて>
――選手たちにどんなことを伝えてピッチに送り出しましたか。
「試合前のミーティングで選手に伝えたことは、ガンバさんは当然だけど個人の能力が高く、前線の選手の技術、サイドバックの選手のスプリント力などの個人の力や、1対1での突破でゲームを決められるような、毎年優勝争いをするようなチームだということ。
そういう相手に対し、自分たちの良さを出すということをずっとやってきたが、同時にこの試合に関しては相手の良さを出させないような戦い方もしなくてはいけないということ。
そういう中で、結果的には実施されなかったものの、前後半に入る飲水タイムを含めると試合の中で3回の中断が予定されていたことから、第1クウォーター、第2クウォーター、第3クウォーター、第4クウォーターと試合を4つに区切り、それぞれの時間帯に大事なことを、我々が勝点3を持ち帰るためには唯一この戦いしかない、というくらいに選手に細かく指示をしていた。
その結果、ある程度予想通りの展開となったが、ガンバさんのシステム変更や交代選手が持つ圧力などでどうしても後手に回らざるをえない場面も当然ながらあった。
それでも選手は最初から非常にハードワークをしてくれたし、試合への入り方としては今シーズン最高に近いものができた。その時間帯で得点を取れたことは良いスタートを切れたということは間違いなかった」
――3得点と3失点。収穫と課題が両方あった試合と言えるかもしれません。
「全体を通して言うと、3失点とも自分たちのミステイクから失点し、やはりミスを2つ3つと繰り返したことで勝点3が取れなかったと思っている。ミスが失点に直結するのがJ1だと思うし、それにより勝点2を落としてしまった。
ただ一方で、そういった試合で選手がその他のパフォーマンスで精神的に切らすことなく、相手のゴールに最後まで向かい続け、勝点1を取ったことは前向きに捉えなければいけないと思う。こういう結果を1stステージの残り2試合の戦い方にどうつなげるかが大事なこと」