熱血指揮官の「湘南、かく戦えり」BACK NUMBER
湘南・曹監督の日記から読み解く、
若手の育成&抜擢のタイミング。
text by
曹貴裁Cho Kwi-Jae
photograph byShonan Bellmare
posted2016/06/15 11:00
1stステージ終盤になっても、積極的な攻撃の姿勢を失わず戦えている湘南。曹貴裁監督と選手たちの、固い意志はブレていない。
居残り練習ができないほど、ハードな練習をした理由。
●6月9日(木)
ミニキャンプと位置づけたこの2週間の後半に入ってからは、ガンバさんのことを意識したトレーニングを多く組んでいる。その中で試合2日前の今日も、紅白戦が終わってから選手が居残って練習できないくらいに負荷を意図的にかけ練習をしている。
当然試合に向けてはコンディションを調整し臨まないといけないが、一方で「今週はこういうトレーニングを多くしてきたな」という印象を選手たちに持たせることも大事。単にコンディションのことを考えてライトなトレーニングを繰り返しても、試合当日に良いパフォーマンスが出るとは限らない。当然、意味もなくハードなトレーニングを課しても疲労が溜まるだけだから、そこのさじ加減は科学的な要素も盛り込んだ上で、監督である自分がこれまでの経験も含めて決定する大事な部分だ。
試合に向けてコンディションに配慮しながらも、やはりトレーニングの中で技術、戦術、フィジカルを積み上げていけるような練習をしなければならないし、選手もガンバさん相手に勝点1でなく、勝点3を取りに行くんだと一生懸命準備をしてくれている。
●6月10日(金)
前日練習を終え、遠征メンバーは大阪へ移動。今回のメンバーを選ぶのは、毎回のことではあるがやはり難しかった。
ナビスコカップの神戸戦で起用した選手にはリーグ戦でもある程度できると自信を得た選手もいるし、逆にこれまで多く出場してきたメンバーも前節の名古屋戦での勝利に酔うことなく、次に向かって準備をしている様子が見られた。そういうポジティブな意味でメンバーを決めるのは難しかった。
明日の試合に臨むにあたっては、初夏の14時キックオフということもあり、相手云々以前に暑さとの戦いという側面もある。JリーグからもWBGT(暑さ指数)次第で飲水タイムやクーリングブレイクを取る対象となる試合との通達があり、明日の試合は相対する相手と同様、暑さとも戦わねばならないことは間違いない。こういう時の暑熱対策として、例えばウォーミングアップを通常より1~2分早めに切り上げ一度体を冷やす時間を多めに取ったり、ハーフタイムに首や脇といった一番冷やさねばならない箇所に氷を当てさせたり、アイスバスに入れてリフレッシュさせてから後半に向かわせるなど、ベルマーレとしても伝統的に気を配っているところだ。
こういった目に見えないところの取り組みが明日の試合の結果に表れていくんだと思う。ぬかりなくやっていかねばならない。