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7年前、期待されていたのは石川遼!?
各国上位陣の変遷で考える五輪代表。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byAFLO
posted2016/06/02 07:00
まだあどけなさが残っていた2009年の石川遼。しかしこの年、彼は日本ツアーの史上最年少賞金王に輝くことになる。
世界ランク上位を席巻し続ける韓国女子。
韓国女子ゴルフ界のスーパースター、朴セリが今季限りでの現役引退を発表したのが今年3月。彼女の背中を追って、世界に飛び出した後輩たちのことを朴セリ・キッズと呼ぶ。いまや女子ツアーを世界で牽引する韓国女子ゴルファーの勢いは、今回のランキング変遷からも見て取れる。
<韓国 女子>
2009年 シン・ジエ、キム・インキョン、チェ・ナヨン、キム・ソンヒ
2012年 チェ・ナヨン、パク・インビ、シン・ジエ、ユ・ソヨン
2016年 パク・インビ、キム・セヨン、チョン・インジ、ジャン・ハナ
冒頭の説明の通り、各国の代表は基本的に2人以下だが、世界ランキングで上位15位に3人以上入っている国に関しては、15位以内から最大4人までの出場枠がある。韓国女子は上記それぞれの時点で、常にその最大4枠が適用される。
ただ、本当に目を見張るべきはここに名前の載っていない選手たちの数である。世界ランキング15位以内の選手が2009年末には4人だったのが、'12年末には6人、現在は7人いる。結果的に昨季日本ツアーで7勝を挙げたイ・ボミが、世界ランキング16位ながら韓国では8番手という、世のお父さんガッカリの結果に落ち着いてしまいそうなのである。
想定外だった? タイガー・ウッズの凋落。
そしてゴルフ界全体の激動を示す象徴が、やはりアメリカ男子の代表だ。
<米国 男子>
2009年 T.ウッズ、P.ミケルソン、S.ストリッカー、J.フューリック
2012年 T.ウッズ、B.ワトソン、J.ダフナー、B.スネデカー
2016年 J.スピース、B.ワトソン、R.ファウラー、D.ジョンソン
世界最高峰のPGAツアーを持つゴルフの本場は、いずれの年も「4枠」を守ってきた。だが、おそらく他のスポーツ界からも期待された存在の名前が、近年消えた。もちろんタイガー・ウッズである。
40歳で迎えるリオ大会への体力的なハードルは決して低くない。ただそれでもウッズに対する評価は別だった。不倫騒動も、左ひざの故障も乗り越えて、一度降りたはずの王座に2013年春には返り咲いている。
それが'14年からの腰痛の影響は色濃く、現在の世界ランキングは543位である。プロゴルフのアイコンが国家の代表争いにすら名を連ねない現実を、7年前、4年前にどのくらいの人が想像しただろうか。
それでもチャンスはもう一度ある。4年後、東京で。齢をさらに重ねて2020年の夏には44歳になるが、そのコースに立つ期待を捨てられない。
その根拠? バカバカしいかもしれないが簡単だ。タイガー・ウッズだからだ。彼はいまもそういう存在のはずである。