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本田圭佑の目から「熱気」が消えた。
“腐ったミラン”で過ごす覚悟は?
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2016/05/17 17:00
ローマ戦でも、本田はチームの誰よりも走り続けていた。しかし、明らかにその表情はこれまでとは異なっていた……。
残された現役の数年間をここで過ごす覚悟はあるか。
ミラノへ来て以来、グラウンドの外ではどんなにクールに振る舞っても、グラウンドの中の本田は熱かった。その熱量が、監督交代を境に、急速に萎んでいるように思えてならない。
ひと月もしないうちに、本田は30歳の誕生日を迎える。腐敗し切ったミランの再建に、残された現役生活の数年間を捧げる覚悟はあるだろうか。己のサッカー人生の意義を、ロッソネロのユニフォームになお見出すことができるのだろうか。
沈黙を貫く本田は、コッパの決勝戦でも先発出場するはずだ。
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ローマ戦の後半、大敗を避けようとしたブロッキは本田を右サイドハーフに動かし、オーナーが嫌った4-4-2へスイッチした。主人の命に逆らってでも、汗かく選手を重用する形で現実的に挑まなければ、最強ユーベとの試合で屈辱的な大敗を喫することが目に見えているからだ。
3シーズン分の疲弊と失望はあっても、本田は自問の果てに、プロとして最後の燃料を絞り出すだろう。
舞台はローマのオリンピコだ。激動のシーズンのラストゲームで、本田が出すアンサーを待ちたい。